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今は金をロングすべき時:デニス・ガートマン
2020年8月29日

コモディティ王デニス・ガートマン氏が、金に対する強気スタンスを継続し、インフレに警戒すべきと話している。


まだ金をロングしている。
ただし、ユーロ建て・円建てではなく、今は金をドル建てで保有している。
より単純なトレードだ。

ガートマン氏がBloombergで、金に強気のスタンスを継続した。
「ユーロ建て・円建て」の金投資とは、昨年まで同氏が推奨していた、調達通貨をユーロや円とする金投資だ。
昨年までユーロや円は弱くなる投資と見られており、その通貨建てで金を買えば、リターンがかさ上げされるというアイデアだった。
大きく花開くまでやや時間はあったが、このトレードは大成功する。
番組でもキャスターから「今世代で最も成功したトレード」と称賛され、ガートマン氏もご機嫌そうだった。

そのガートマン氏が、単純にドル建てでの金投資を奨めている。
つまり、今後はドルが弱くなると見ているのだろう。

「私は長年、何年も金に強気になるべき時、弱気になるべき時があると言ってきた。
私は『ゴールド・バグ』ではないし、常に金を保有すべきとも思わない。
金に中立になるべき時もある。」

コモディティ王は、とにかく金を買えばよいとするゴールド・バグたちとは一線を画している。
それでも、現在の世界の金融環境を見れば、今は金をロングすべき時という。
主要中央銀行が軒並み拡張的な金融政策を採っており、それが金を押し上げていると見るからだ。

ガートマン氏は7月終わり、金の人気化を警戒して、いったん金から撤退したことがあった。
その後、読み通りに金価格は調整。
期待したほどの下落幅には届かなかった模様だが、ガートマン氏は再び金ロングに戻っている。
1,900-1,925ドルに支持線があり、それを超えると少しずつポジションを減らすよう考えているという。

ガートマン氏は、金への強気の裏返しに、インフレへの警戒感を強めている。
そう感じさせるのは、幅広いコモディティが強くなる気配を示しているためだ。

私はインフレ圧力について心配し始めたところだ。・・・
金融当局はこれまで拡張的であったし、インフレ上昇にどんどん寛容になってしまっている。

Bloombergキャスターが良い質問をした。
「4%の失業率でもインフレが起こらなかったのに、10%でインフレになるのか?」というものだ。
フィリップス曲線の考え方に根差した質問であり、コロナ・ショック前まではまさにそのとおりというべき議論だ。
ガートマン氏は、世界中で保護主義が高まっている点を強調する。

これは来年、2-3年後に賃金上昇を押し上げるだろう。
米国が雇用・生産を中国から国内に戻すなら、米国の自動車産業の賃金は65、70、80ドルだが、中国なら・・・
先進国で保護主義が高まるなら、失業率が比較的高い水準に留まろうと、賃金が上昇するだろう。

米国内の高い失業率により賃金が低迷しても、財・サービスに投入される労働力が低賃金国から高賃金国に転換すれば、供給側が体感する賃金は跳ね上がる。
こうした供給側の要因に加え、コロナ・ショックによるペントアップ・デマンドが発現すれば、想定外のインフレが起こる可能性も否定できない。
仮にそうなっても、FRBはしばらくインフレを放置するのだろうから、これがコモディティ相場の材料にならないはずはない。


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