ブラックストーンのジョー・ザイドル氏が、米国株市場へのスタンスをやや強気に移し、今後は調整の後にさらに高値を追うと予想している。
「第1・2四半期は利益成長はなかった。
第3四半期は前年同期比でマイナスになりそうだ。
第4四半期もあまりよくならないだろう。
また、利益率は横ばいを始め、売上は鈍化から低迷だ。
すべて合わせて考えると、現在は、市場がかなり先を行ってしまっている環境にある。」
ザイドル氏がCNBCで、利益成長なき株価上昇を振り返った。
年初来23%の上昇について、同氏は「流動性が完全にファンダメンタルズを凌駕した」と分析した。
つまり、金融政策がもたらした株価上昇だ。
ザイドル氏は、今年のFRBの政策変更を「ゴルディロックスのシナリオを再び生み出した」と表現した。
FRBをはじめとする各国中央銀行の金融緩和スタンスは新たに流動性を生み出し、それが資産価格上昇を支えた。
これが金融市場に流入し、実体経済には届かない。
2019年の1-3四半期の米GDP成長は約4,000億ドルだったが、市場の株式時価総額は約6兆ドル増えた。
投資家はマネーを株式市場、金融資産に投入したが、しばらくファンダメンタルズが追いつくのに時間がかかる。
経済サイクルの最後は、概して最良の期間になるものなので、経済成長は今から加速するかもしれない。
私は経済成長にそれほど楽観していないが、ある時期に、ありそうにないが企業収益の成長がキャッチアップするか、株価が落ちるかするだろう。
私は株価が落ちると思う。
株価下落予想ではあるが、決して悲観的なものではない。
ザイドル氏は、現在の強気相場が最長ではあるが最大ではないと指摘。
最大になるためにはS&P 500が3,300まで上昇する必要があるとし、そうなると予想している。
ただ、その前に少しボラティリティが上昇し調整が入るということらしい。
つい最近までかなり弱気のトーンが強かったザイドル氏だが、市場心理の好転に、さすがにややトーンを変えてきたようだ。
強気相場の継続の可能性を示唆し、次に来るのが強気相場の中の調整であるとするバイロン・ウィーン氏の意見に寄せてきている。
ザイドル氏の目下のゲーム・プランはこうだ。
これが強気相場の終わりとは思わない。
景気拡大が終わるまでの株価上昇の時間はまだ残っていると思う。
しかし、(今より)いいエントリー・ポイントがあると思う。
ザイドル氏は、米長期金利が1.5-1.6%で底を打ったとし、今後はイールド・カーブがスティープになると予想する。
株式は企業収益(業績相場)と金利上昇(金融相場)の綱引きになり、長期金利上昇がバリュエーションの重しになると見ている。
また、市場の集中についても心配を示した。
時価総額トップ10の企業で市場全体の時価総額の22-23%を占めており、市場に広がりが欠けていると指摘した。
最後に、小型株が最も出遅れており、今後追い風が吹く可能性に触れている。
ラッセル2000(小型株の指数)は、他の資産クラスが新高値をつける中、高値をつけていない。
企業収益の谷を抜け、景気拡大が終わる前の最後の利益サイクルが来れば、小型株の再上昇があるだろう。
小型株は国内事業の割合が高く、貿易摩擦から比較的安全だ。
おそらくこの水準ではFRBの金利へのエクスポージャーが比較的大きい。