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人間の本性は変わらない:ロバート・シラー
2020年1月28日

ロバート・シラー教授が、様々な角度で用いられ始めた《今回は違う》とする主張に対し、冷静にコメントしている。


人間の性質とは安定的なもので、根本的な変化は見られない。
実際どちらかと言えば、現在は株式市場・不動産市場・債券市場において巨大なブームが起こっている。
だから、今、ブームと破裂のサイクルに死の鐘が鳴っているとは思わない。

ブリッジウォーター・アソシエイツのボブ・プリンスCIOがブームと破裂のサイクルの終焉を宣言したことについて尋ねられ、シラー教授がBloombergに答えた。
明確な否定である。
もっとも、プリンス氏は意図して極めて単純化した言い方を選んだようにも見え、それについて意見を求められればNoとしか答えようがないのかもしれない。
シラー教授は、低金利がFRBの金融緩和余地の小ささを示す点には同意しているが、「警戒すべきだが、それで確信すべきではない」と冷静だ。
カーメン・ラインハート教授も同様にプリンス氏の意見を否定するコメントをしている。

「根拠なき熱狂」の兆しはあるかと尋ねられると、シラー教授はドットコム・バブル直前の1999年のような「興奮」は見られないと否定的に返している。
キャスターは教授に「根拠なき熱狂」があると言わせたかったようだが、教授はそうは言わなかった。
一方、ドットコム・バブルほどのブームやバブルは感じられなくても、崩壊の可能性がないとは言えないという。

「みんな株式や不動産の価格が高いことを知っているのだと思う。・・・
みんなが市場のバリュエーションに疑問、大統領に疑問を持っているという感覚がある。
来年何が起こるだろうという思いが優勢だ。
大きな調整が起こりえない時期とは思わない。」

シラー教授は、自身の個人的な思い・政治信条はありつつも、経済・市場を冷静に客観視してきた。
だから、足元の「強い経済」についても、その一部がトランプ効果であると指摘してきた。
ただし、教授は「強い経済」という言葉を好まないという。
最近は用いられなくなったが「極めて投機的な経済」・「過熱した経済」の方があっていると話している。
つまり、シラー教授は、足元の経済が投機的・過熱ぎみであることは認めているのだ。
教授は、10年という長い期間、景気拡大・強気相場を支えた1つのナラティブを指摘している。

「『私たちは史上最長の景気拡大を経験しつつあるが、これは史上最も緩やかな景気拡大でもある。』
この緩やかというのが何か効いている。
趨勢的停滞論とも呼ばれ、人口動態とかベビー・ブーマーとか、みんな原因を見つけようとしている。」

少し前まで、景気拡大や強気相場が長く続いていることを理由に景気後退や弱気相場を心配する声が多く聞かれた。
景気拡大や強気相場が年数で終わるものではないとわかっていても、中央回帰を信じる大多数の人にとってはやはり心配の種だった。
そういう時にブル派が持ち出すのが《今回は違う》とする理由だ。
《今回は違う》という話を聞いた時、私たちはかなり用心して吟味しなければいけない。

同時にこれはケインズが『伝統的な評価基準』と呼んだものの新種だ。
低金利がそれに使われているようだ。


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