ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、月初の株価の調整を歓迎し、バリュー株のアウトパフォーマンスを控えめに予想した。
経済面では、マネーサプライがフラットになりつつある。
3月から6月にかけてマネーサプライの大爆発があった。
マネーサプライはまだ増加しているが、はるかに緩やかな率になった。
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、近時のマネーサプライの状況を紹介した。
米金融・財政政策によって起こったマネーサプライ急増は、コロナ・ショックの中でもシーゲル教授が強気を通した重要な根拠である。
教授の読みは、経済が再始動した後このマネーサプライが消費に向かい、経済が熱するというもの。
これにより株式市場も恩恵を受け、3-5%のインフレが起こるというものだった。
当初シーゲル教授が想定した時期は2021年だった。
(もちろん株式市場は先読みをする。)
ところが、市場は2021年の先読みどころか、あっという間に高値を取り戻した。
急増したマネーサプライがロックダウンの間とりあえず株式等のリスク資産に向かうと解釈したようだ。
確かに、小口の投資家が急増するなど、そうした兆候は見られた。
(ただし、金額規模でどれほどの寄与があるかは疑問もある。)
今、マネーサプライの拡大がフラットになるなら、このストーリーは峠を越すことになる。
シーゲル教授は冷静だ。
もちろん、再びPPP、刺激策ほかがなされれば、マネーサプライを押し上げ、経済を拡大させ、株式市場の支えになるだろう。
現在、米国では追加財政政策への期待は急速に萎んでいる。
共和・民主 両党ともにすっかり選挙モードに入り、さらなる大型財政支出の合意が難しいとの見方が増えている。
共和党支持者であるシーゲル教授は、政治的観点から必ずしも財政支出拡大を望んでいないのだろう。
その可能性を力強く語るようなことはなかった。
《永遠のブル》などと呼ばれるシーゲル教授だが、実は7月の時点でそのトーンはかなり控えめなものになっていた。
年末のS&P 500を3,200-3,300(当時の水準から横ばい)と予想していた。
そして今月初め、ついに市場に調整が入ることになる。
「株式市場の面では・・・歓迎すべき下落があった。
テクノロジー・セクターは明らかに過度に伸びていたため、引き戻された。
これから地固めをしていくのだろう。」
シーゲル教授は、「地固め」の後に再び上昇を予想する一方で、NASDAQやテスラに見られる急騰銘柄が新高値を付けるとは予想しないと話している。
代わりに、教授が待望する大きな変化が起こる可能性にしつこく触れている。
ところどころ笑いながら率直に話すから憎めない。
強い株式が良いパフォーマンスを上げるだろう。
今後6か月ほどバリューに主役交代する可能性がある。
もちろん、以前もそうなると言ってきたけどね(笑)。
だから、それに人生をかけちゃいけない。