ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、米ドルの価値低下を予想し、投資家は中国に目を向けるべきと促している。
まず起こるのは、たくさんの信用、債務、お金を作ってしまうと、他の資産と比較した価値が低下してしまう。
1933年3月5日を振り返っても、歴史を通して振り返っても、そうした政策がお金をシステムに供給すると、通貨の価値が下がり、株式や金ほかのリフレ資産が上昇する。
今私たちが目の当たりにしているのがそれだ。
ダリオ氏がBloombergで、近年主要なリスク資産が上昇している主因を解説した。
ドルの相対的な価値低下は、かつての覇権国家の通貨で見られたのと同じ現象だという。
オランダのギルダー、英国のポンド、そして今、米国のドルの価値が危うくなるかもしれない。
では、ドルの次はどの通貨なのか。
世のコンセンサスどおり、ダリオ氏は中国人民元だと考えている。
主要準備通貨となるためには世界「最大の貿易国の通貨でないといけない」ためだ。
そもそも世界で広く流通しないことには話が始まらない。
そのためには貿易に用いられる必要があるとの考えだ。
また、ダリオ氏は、中国が資本・為替市場を開放しようとしていると観察している。
人民元がすぐさま(主要)準備通貨候補になるとは思わないが、他の人の予想よりもかなり早くそうなると信じている。
今後5年といった話だ。
ダリオ氏は、人民元がドルの代替になりうるまでもうしばらくかかると見ている。
そこで問題なのが、それまでの「富の保蔵手段」だ。
ドルには減価が進むリスクがある。
人民元はまだ全幅の信頼をおける状況にはない。
ダリオ氏は、現在、主要リスク資産が上げている背景には「富の保蔵手段」としての需要があると考えている。
人民元が準備通貨としての要件を整えるのをただ待つべきなのか。
ダリオ氏の答はNoだ。
例えば債券でいうなら、米国の債券より中国の債券を保有したいと話している。
米国ほかに大きな割合を投じるとの同様に、中国に大きな割合を配分しなければいけない。
でも、金利差が(中国に)有利で、成長率の差が有利で、大きな要因は国内の秩序で、今のところかなり有利だ。・・・
通貨では、中国が開放を進めるにつれ資本フローも有利になる。
だから、そうした戦術的な理由、さらに分散のために、そう(中国の債券の方に投資)したいんだ。
こう言いつつも、ダリオ氏は但し書きもつけている。
これが米中だけの話でなく、世界中の国々についても検討されるべきと言い添えている。