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中間層にばら撒くよりインフラを:ラグラム・ラジャン
2021年4月13日

IMFチーフエコノミスト、インド中銀総裁を歴任したラグラム・ラジャン シカゴ大学教授が、今日日あまり受けのよくない正論を正面から語っている。


この危機に対処するため、私たちは莫大な債務を作った。
米国の債務対GDP比率は、この危機に対処する過程で25-30%ポイント上昇した。

ラジャン教授がYahoo Financeで、コロナ禍への対策によって米政府財政が大きく悪化した点を心配している。
教授が懸念するのは規模もそうだが、むしろ支出の中身にある。
ラジャン教授は、巨額な債務発行で財政支出している今、十分に内容を吟味すべきという。

もしも債務が将来への投資のためのものならば、良く熟考されたインフラ策や国民の教育・能力を改善するために必要とされる人的資本への投資ならば、これらは将来所得を生むので良いものだ。
長期的な恩恵を生まない形で支出がなされる場合、それが本当に必要か問い直す必要がある。

ラジャン教授は、CARES法など当初の財政出動については「危機への早急な対策」として必要だったと評価している。
失業して他に収入がない人、貧困で食糧も買えない人を救うのは当然だという。
問題はその先だ。

「中間層の貯蓄を増やすだけなら、有用性は少ない。・・・
追加支出でばら撒かれたお金の相当額が不要だったのではないかと心配している。
そのお金は、本当に必要なインフラに使われるべきだったのではないか。」

ラジャン教授は決して出し惜しみを勧めているのではない。
実のある使い方をしろと言っているのだ。
お金を出すなら、本当に必要な人に配れといっているのだ。

米政府が一律の給付金を出す毎に、米国株や暗号資産の市場で小口投資家の売買が活況になったのは記憶に新しい。
もしも、この背景に給付金があるなら、これが教授のいう「必要」に該当するとは到底思えない。

ラジャン教授は、無駄遣いの分、将来払う付けが大きくなるのを心配している。

もちろん私のように心配性なら、もしもフリーランチがないなら、おそらくないが、どこにコストがしわ寄せされるのか、と言い出すだろう。・・・
問題は、これが何をもたらすのか、問題はないのか、だ。
『ノー、債務は安く費用はほとんどないから、心配するな』という人もいる。
現実には、いつか誰かが払うことになる。
問題は、誰が外れくじを引くかだ。

天才的頭脳の持ち主が「外れくじ」のゆくえを予見していないはずもないが、それは元中央銀行総裁として言いにくい話なのだろう。


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