投資

中身を理解せずに判断する方法:ロバート・シラー
2020年7月16日

ロバート・シラー教授が、コロナ・ショックを例にとって、市場がニュースに反応するプロセスについて解説している。


結局のところ、株式市場の変動とは、ニュースそのものよりも、ニュースに対する他の投資家の反応の変化を投資家がどう評価するかによって概して引き起こされるものだ。
なぜなら、ほとんどの人は、経済や科学のニュースの重要性を評価することができないためだ。

シラー教授がProject Syndicateで、ニュースに対する市場の反応の現実を説明した。
少なくともストロング・フォームの効率的市場については否定した内容になっている。
しかも、その理由が何とも魅力的だ。
市場参加者にはニュースを即時に正しく理解する能力がないからだという。
シラー教授はプロとアマの区別をしていないから、市場参加者は軽くディスられたようなものだ。

コロナ・ショックによる株価急落は3月23日を境にV字回復に向かった。
経済が回復しない中、市場だけがV字回復を遂げた。
底を打つのには明白な材料があった。
FRBや連邦政府による大規模な救済・支援策(のアナウンス)だ。

ほとんどの人たちはFRBの政策やCARES法がどのようなものか理解していない。

シラー教授は、こうした政策の内容を市場参加者のほとんどが理解していないと言い切る。
少々厳しすぎるようにも聞こえるが、言い換えればその通りだ。
政策が市場に与える定量的効果を予見できた市場参加者はいなかったろう。
それでも、市場はかなり急ピッチに反転回復した。
なぜか。
シラー教授は、人々が政策の内容こそ理解できなくとも、似た前例を拠り所に判断したと考えている。

「より小さいがそれでも重大な株式市場の崩落と強い回復の物語について、2018年のいくつかの経験が広く思い出された。
当時あるいは2009年の底で買わなかったことへの後悔が語られ、2020年も市場は十分に下げたとの印象を残した。
この時点でFOMO(出遅れる恐怖)が起こり、投資家の再参戦しても安全との信念を強くした。」

つまり、市場参加者は、材料の中身ではなく、似た例や周りを見て強気に転換したのだ。
こうした市場の合理的とはいえないふるまいは市場参加者に朗報・凶報の両方を伝えてくれる。
凶報なのは、ニュースに対する市場の解釈が、特に初期において、正しいとは限らないこと。
誤っていれば、当然後に調整が入ることになる。
朗報なのは、こうした市場の誤りこそ市場参加者の収益機会になること。
実際、シラー教授は、市場のニュースへの反応に時間がかかると書いている。
その時間の間、市場は市場参加者に超過収益を得るチャンスを与えてくれるのだろうか。

特にニュース・メディアへの不信が高まっていると、人々は知人のニュースへの反応に依存する傾向がある。
この評価プロセスには時間がかかり、このため、伝統的な理論が示唆するように、株式市場はニュースに対して突然に完全には反応しないのだ。
ニュースが市場で新たなトレンドとなり始めても、それは曖昧で、ほとんどのスマート・マネーがそれから利益を売るのは困難だ。


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