中空麻奈

中空麻奈氏:そろそろさすがに・・・

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BNPパリバの中空麻奈氏が信用リスク・スプレッドのタイト化を指摘し、レバレッジド・ローン市場にリスクが蓄積している可能性を示唆した。
市場がリスクに無感覚になっている兆候は低い恐怖指数(VIX)だけではないようだ。


「そろそろさすがに(信用スプレッドが)上がってくるだろうとみんな思い始めている。
どこでそれが出てくるかが今の疑問の一つだ。」

中空氏はテレビ東京の番組で、CDSインデックスのスプレッドの推移を示し、日米欧で信用スプレッドがタイトになっている現状を説明した。
これは、投資家が信用リスクへのリスク許容度を高め、債券を買い進んでいることを示している。

レバレッジド・ローンの人気が高まる

中空氏は、信用リスクが顕在化しうる一つの分野として、レバレッジド・ローンを挙げた。
最近、投資家のレバレッジド・ローンへの食欲が高まっているのだという。
レバレッジド・ローンは信用力の低い企業へのローンであり、通常のシニア・ローンや投資適格債よりも利回りが高い。
一方、ローンであるため債務弁済順位はそれほど低くなく、担保が設定されているものが多い。
これが、イールド・ハンティングに勤しむ投資家にとって魅力的に映る要因だ。

活況なのはレバレッジド・ローンへの投資だけではない。
ゴールドマン・サックスは7月、同ローンの引き受け業務への注力を表明している。


中空氏によれば、スプレッドのタイト化はレバレッジド・ローンの世界にも及んでおり、利回りは低下傾向にあるという。
その中で、金融機関を押しのけ、機関投資家が投資家シェアの大半を占めるようになっている。

機関投資家は金融機関などとは異なり規制に縛られる面が少ないため、多少のリスクに目をつむり、リターンを狙ってきている。

利回りのためにコベナンツが緩む

機関投資家にとって目下、重大な問題はリスク・テイクではなく、リターンの低下の方にあるようだ。
少しでも利回りを取るために、比較的リスキーなレバレッジド・ローンをさらにリスキーにしようとしている。
担保設定などローン条件を緩和する代わりに、約定金利を引き上げようというのだ。

「リーマン・ショック後の2009年、レバレッジド・ローンは多くデフォルトしている。
そのうち、条件緩和ローンはわずかにすぎなかった。
現在のデフォルト金額は低位にあるが、条件緩和ローンについては増えている。」

中空氏はこうした条件緩和ローンのデフォルトが今後も増加するのではないかと心配する。
本来、担保があり弁済順位が高いなら、デフォルトが起こっても回収率は高いはずだ。
ところが、肝心のローン条件が緩和されているため、必ずしもそうとも言えなくなってきている。
こうしたローンは無担保のハイ・イールド債にリスク度合いが似てきてしまう。

(次ページ: 2007年の記憶再び)

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