海外経済

中央銀行は市場にあまり反応すべきでない:マイケル・スペンス
2019年9月23日

2001年、情報の非対称性に関する研究でノーベル経済学賞を受賞したマイケル・スペンス教授が、長い超低金利の弊害を警告した。
また、原油価格の上昇が続くようなら石油ショックに至る可能性も否定できないと話した。


これほど長い期間極めて低い金利が続く状況についてとても心配している。
これが、レバレッジ拡大とある種の脆弱性につながる心理状態を生み出すからだ。

スペンス教授がBloombergで、長く継続する超低金利について懸念を示した。
教授は、FRBが暗中模索を続けていると指摘する。
経済のメカニズムにいくつか重要な変化が見られ、しかも、その内容が完全に解明されていないためだ。

教授は具体例を挙げなかったが、その代表はフィリップス曲線だろう。
過去、私たちは、金融緩和を行い景気が刺激され労働市場が引き締まれば、賃金が上昇し物価も上昇するとの期待を抱いてきた。
物価が上昇したところが、金融緩和のゴールだった。
しかし、物価は解明しきれていない構造的要因により上昇しない。
中央銀行はゴール・ラインを見失ってしまった。
そこに政治家などが集まってきて、ゴールがないなら走り続けろと促す。
これはバブル的なものを生み出し、将来の金融不安定を生みかねないが、それに責任を持とうというリーダーは驚くほど少ない。

「世界経済の状況に対応して利下げすることで軌道を変え経済を押し上げようとすることを私は好まない。
FRBは財政当局ほかにボールを渡すべきだ。
私がこう主張するのは、中央銀行に経済でなく市場に対して過度に反応してほしくないと考えているためだ。
米経済のファンダメンタルズを見れば、世界経済の逆風と貿易戦争にかかわる明らかな理由でやや鈍化しているものの、現時点では刺激策は必要ない。」

スペンス教授のこの発言には少々矛盾がある。
経済が悪くなく「現時点では刺激策は必要ない」のなら、財政政策もまた必要ないように思える。
それでも教授は、FRBが他の政策当局に「ボールを渡すべき」と書いている。
それほど金融政策への依存が目に余るということだろう。
財政による刺激も必要ないと考えているが、どうしてもやりたいなら、金融政策だけはもう解放すべきとの思いがあるのだろう。

スペンス教授は1970年代のような石油ショック再来の可能性についても尋ねられている。

もちろんだ。
かなり大きいのがなければ、突然(成長を)停止させることはないだろう。
しかし、すでに世界経済の成長に向かい風が吹いている現在、原油価格上昇は間違いなくプレッシャーを与え、世界経済の一部を景気後退に追い込むかもしれない。


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