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ハワード・マークス 中央銀行が進める社会主義化:ハワード・マークス
2020年5月4日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、中央銀行の使命と社会主義について語っている。


「通常の投資における反応は、利下げで良くなるというものだろう。
利下げは経済を刺激し、割引率を下げ、将来キャッシュフローの現在価値を増やしてくれる。
みんな利下げを望む。
問題なのは、好景気の中FRBが利下げする場合、これまでがそうだったが、景気後退と戦うための弾薬を消費してしまうことだ。」

コロナ・ショックが米国を襲う前の2月、母校ウォートン校でのQ&Aで、マークス氏が行きすぎた金融政策を批判していた。

結果論で言えば、コロナ・ショック前の利下げを我慢していれば、コロナ・ショックをより大きな利下げ幅を持って迎えることができたのかもしれない。
もっとも、その場合、コロナ・ショック前に景気後退を迎えた可能性もあり、判断は難しい。
ただ、マークス氏の信念は、景気後退を食い止めるべきなどという小市民的考えとは一線を画している。

私は、FRBがすべての景気後退を予防すべきとは思わない。
私は夏のメモ『一方で』で『景気後退が自然に起こるのを受け入れるか、それとも不自然に予防するか』問うた。
私は、上げ下げの自然な側面を信じている。
仮に今、私がFRBを仕切るなら、景気後退を妨げない。

マークス氏は、2人の連銀総裁と別々に会う機会があった時の話を紹介している。
彼らは、雇用や経済成長をFRBの「仕事」と説明したという。
うち1人は、「毎日・毎年」そうすることが「仕事」だと話したのだという。
マークス氏は、FRB高官の仕事の定義に強い違和感を呈している。

私たちのほとんどが今あるのは、私たちが資本主義のシステムを信じているからだ。
私たちは自由市場を信じ、自由市場が資源を最良の方法で配分すると信じているからだ。
もしもそれが事実なら、なぜ中央銀行は継続的にお金の値段を管理するのだろう。
私は、中央銀行がそういうやり方をやめるべきとの強い考えを持つべきだと信じる。

世界の政府・中央銀行が、あたかも景気循環をなくすことが使命かのような経済政策を続けている。
神の見えざる手は信じられないとし、彼らの手によって経済・市場を自在に操ろうとする。
もちろん神の見えざる手は手放しで信じ込めるものではない。
しかし、同様に、政府・中央銀行が神(市場)より優れた見識を有している保証もない。
これが何をもたらすのかは後世の判断に委ねるしかないが、素人にも気づくことがある。
各国の財政が悪化し、政策金利が低下し、経済・市場の振幅が大きくなる。
それに合わせて、権力やバラマキを求めるためか、政府の借金や超低金利の継続には問題はないと論じる人たちが増えてくる。
不思議なことに、権力とそれに対抗する勢力の両方が、似たような主張をし始める。

マークス氏は、ウォートンの若い学生・学者の前で、ひるまず自分の信念を話す。

18-34歳のアメリカ人の半数余りが社会主義をかなり良いアイデアと考えているらしい。
彼らに、社会主義とは何かと聞いても、おそらく答えられないだろう。
彼らが言うのはおそらく、タダでものをくれる、大学の学費がタダ、医療がタダの社会というようなことだろう。

まさに該当する世代を前にして、彼らの唱える理想主義の底の浅さを指摘している。
理念やイデオロギーではなく、バラマキを求めるにすぎない議論だと看破しているのだ。

マークス氏は、過去90年、米経済が「世界一うまく機能した経済」だったと話す。
米国の高い生活水準を実現したのも経済が機能したおかげだった。
その理由を問い直すべきと求めている。

それは、私たちがより優れた人間だからではなく、より賢いからでもなく、より高潔だからでもなく、よりふさわしいからでもない。
米国の成功と生活水準は、資本主義と自由市場システムが与えるインセンティブによるものだ。
懲罰または没収のような高い所得税率で所得を限定しようという時、それを望む人は、このシステムの機能・発展の理由を理解していない。

マークス氏は、米経済が機能し続けるためには資本主義と自由経済が必要との信念を繰り返す。
これを失えば、現在の繁栄はほどなく失われるだろうと予想した。
最後に、ウィンストン・チャーチルの言葉を引いて、社会主義への傾倒に対して警告している。

『資本主義の生来の欠点は、恩恵を不平等に分配することだ。
社会主義の生来の利点は、悲惨を平等に分配することだ。』


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