中央回帰、分散投資、投資家最大の誤り:レイ・ダリオ

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、分散投資の重要性を説いている。
あわせて、投資家が陥りがちな最大の誤りを説明した。


私の最も包括的なプリンシプルズの1つは
『自分が知らないことをどう扱うか知ることは、知っていることの何よりもはるかに重要だ』
というものだ。
これに関連する基本的な投資のプリンシプルが
『よく分散することこそ、よい投資のためになすべき最重要のことだ』
である。

ダリオ氏が自身のSNSで書いている。
人生や投資には知らないこと、わからないこと、予想できないことがつきものだ。
それにどう対処するかが大切という教えだ。
これを投資に投影すれば、不可知なことに対処するにはリスク分散すること、という話になる。

ダリオ氏は2つの理由を挙げている。

1) 市場では(すでに市場に織り込まれていることの比較において)わからないことの方がわかることよりはるかに多い。
2) 分散は他の何よりもリターン対リスク比率の期待値を改善することができる。

ダリオ氏は投資で儲けることの難しさを競馬に喩えている。
(ある程度の確率で)勝ち馬を選ぶだけならそう難しいことではないが、オッズまで考えなければ儲けになるかはわからない。
そのオッズはベットによって変化してしまう。

「結果、ほとんどすべてのものが、等しく良い/悪いベットになってしまう。」

ダリオ氏は市場がかなり効率的であると信じているようだ。
結果、かなりの材料は市場に織り込まれ、勝ち馬は価格が上がり、負け馬は価格が下がる。
勝ち馬(リスク小)が勝ってもリターンは小さく、負け馬(リスク大)が勝てばリターンは大きくなる。
結果、リスク/リターンのトレードオフが働くという感覚なのだろう。
このトレードオフに勝る、ローリスク/ハイリターンの投資対象を高い確度で見出すのは至難の業だ。

ディストレスト投資の草分けハワード・マークス氏が、投資について似たようなことを言っていた。
「良い投資とは良いものを買うことではなくうまく買うことだ」というものだ。
良いものを相応の高値で買っても超過リターンが得られるわけではない。
悪いものを相応の安値で買っても同様だ。
良いものだろうが悪いものだろうが、相応より安く買うことが必要なのだ。
だから、マークス氏は景気・市場サイクルを重視する。
ディストレスト投資のタイミングはサイクルの底であるからだ。


ダリオ氏の場合は話が違う。
景気・市場がいい時も悪い時も投資を続けるタイプのファンドを運用している。
だから、サイクルを見切るだけでは痛手を避けきれないだろう。
そこで有効なのが分散投資となる。

よい分散投資とは、期待リターンの減少よりも期待リスクを多く減らす(つまり、リターン対リスク比率を改善する)方法を知ることだ。

ダリオ氏は、こうした考え方がリスク・パリティ戦略を用いたオール・ウェザー・ファンドを作り上げた背景にあったと回想している。
今回の記事上で様々な分散方法を試算し、分散しない場合よりリターン対リスク比率が改善することを図示している。

1997年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・マートンMIT教授は「分散こそファイナンスにおける唯一のフリー・ランチだ」と話している。
大きな取引コストなく分散が図れるなら、それはポートフォリオにとって大きなプラスなのだ。

ダリオ氏はいくつか関連する市場の挙動を紹介している。

  • 市場・経済における極端な動きは大概は自律的に調整する。
  • 人々は将来を予想するのに過去を外挿しがちだ。
  • 大きなロスを大きなゲインで取り戻すことは難しく、何としても大きなロスを避けるべきだ。
    50%ロスすれば、取り戻すのに100%ゲインが必要になる。

多くのケースで中央回帰が起こると考えるダリオ氏は、投資における最大の誤りを説明する。
極端な動きに追随するとは、ポートフォリオの分散をいびつにすることにつながる。
ダリオ氏は、逆にリバランスすることでポートフォリオの分散を維持し、大きなロスを回避すべきと示唆する。

例えば、ほとんどの投資家は、過去数年よいリターンを上げた投資がよい投資だと考える傾向がある。
高くなったのだから、よい投資でなくなったとは考えない。
結果、不適切に天井で買い、底で売ってしまう。
これは投資における最大の誤りだ。


 - 投資 , ,