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中国へ投資すれば損をする可能性が高い:ジョージ・ソロス
2021年9月8日

ジョージ・ソロス氏が、中国ビジネスを拡大しつつあるブラックロックに対して、2つの側面から警告・批判している。


「ブラックロックは顧客の資金に対する責任を真剣に受け止めており、ESG運動のリーダーの一角だ。
しかし、同社は習近平国家主席の中国を誤解しているようだ。・・・
習政権は国有企業と民間企業を別に扱うと言ってきたが、それは現実とかけ離れている。
政権はすべての中国企業を一党独裁体制の道具とみなしている。」

ソロス氏がWSJなどへの寄稿で書いている。
8月30日にブラックロックが外資として初となる中国個人投資家向け投資信託等をローンチしたことへの批判だ。
同社は2021年の年央世界見通しで3つのテーマを挙げていたが、その2つ目が「中国」だった。
ソロス氏は、ブラックロックが8月半ばに投資家に中国へのエクスポージャーを3倍に増やすよう推奨してすぐ、中国での投信が発売されたと書いている。
あたかも関連があるかのように匂わす書きぶりだ。

注意しなければいけないのは、一連の指摘が2つの要素にかかわるものという点だ。
1つは中国個人投資家向け投信の第1号を発売したこと。
もう1つは米国等の顧客の資金を預かり中国に積極投資している点だ。
ソロス氏は、これら2つに対する批判を2つの異なる側面から展開している。

  • 中国が投資対象として大きな問題(人口動態・格差縮小のための政策)を抱えている。
    「現在中国に数十億ドルもの資金を注ぎ込むのは悲劇的誤りだ。
    ブラックロックの顧客が損をする可能性が高い。」
  • 専制的な中国の体制を利することになる。
    「米国や他の民主主義諸国の国防上の利益を損なうことになる。」

ソロス氏は今ではほとんど投資の現場からは退き、ライフワークである社会貢献に注力している。
プログレッシブ・リベラル的な考えを持ち、世界中で民主主義を推進する活動を支援している。
したがって、同氏は以前から一党独裁体制の中国を厳しく批判してきた。
同氏からすれば、習体制を利することになるブラックロック等の中国ビジネスは自由社会への害悪に見えているのだろう。
そして、ブラックロックは投資・金融の世界でESGのイニシアティブをとっているリーダー企業なのだ。

ソロス氏は米中関係について厳しい現状認識を語っている。

(ブラックロックの中国に関する)以前の努力については、二国間が近づくための架け橋を作っているとの主張で倫理的に正当化されたかもしれないが、現在の状況は全く異なる。
今日、米中は2つの統治システム(抑圧的システムと民主的システム)の間の生きるか死ぬかの対立に取り組んでいるところなんだ。

米国では共和党の中にも対中強硬派が増えている。
もちろん民主党は以前からその傾向が強い。
こうした傾向が続くなら、西側から中国に向かう資金フローに今後も影響が及ぶリスクを考えておくべきだろう。


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