世界はまだマイナス金利だ:ピーター・シフ

Euro Pacific Capitalのピーター・シフ氏が、各国の金融政策を厳しく批判し、金やビットコインについてコメントした。
社会にとっての正しさ、投資における正しさをわきまえた発言が面白い。

「これはまだ人々が信じ込んでいる楽観のためだ。
FRBが問題を解決してくれると楽観している。
彼らはまだ現在の状況を理解しておらず、だから金は横ばいになっている。」


RTから金相場がさえない理由を聞かれ、シフ氏が答えた。
シフ氏の描くシナリオは、FRBが問題を解決できないのが認識されるとともに金が上昇するというものだ。

決してFRBは政策を巻き戻せず、決して金利は正常化せず、決してバランスシートは意味のあるだけ縮小しない。
実際、バランスシートは新たな最大値まで膨張し、FRBはゼロ金利に戻るだろう。
昨年末に株式市場が急落したのに対応して、年初にFRBがこのプロセスを開始したものと私は考えている。

弱気派のシフ氏は、再びFRBが非伝統的金融政策に逆戻りすると予想している。
そのプロセスはすでに始まっているとさえ指摘したのだ。

何が何でも景気・市場の悪化を防がなければいけないというのが社会のルールなら、政府・中央銀行は景気刺激策のアクセルから足をはずせなくなる。
アクセルの効果が低減してもアクセルを踏み続け、効果が低減してきたからより深く踏まなければいけないというロジックになる。
こうしたプロセスにそもそも出口が存在するのかとの疑問は、シフ氏ならずとも多くの人が抱く疑問だろう。

この後シフ氏は、RTのビットコイン好きのキャスターと金vsビットコイン論争に時間を費やす。
そもそもキャスターが横ばいを続ける金の話を振ったのは、一方で上昇したビットコインを持ち上げたいからだったのだ。
まさに目くそ鼻くその言い合いが続いた。
外野にとって興味深いのは、正統的な投資家は暗号資産など眼中にないだろうし、おそらく金への興味も限定的であろうということだ。
(金やビットコインが悪いというわけではない。ただ、正統的な投資の枠組みに大きく乗ることは現状ないということ。投機や限定的なオルタナティブとしてならば、好きな人が取り組めばいい。)


この両者が折り合えるテーマがある。
それが金融政策だ。
米国でもマイナス金利政策の可能性が議論されていることについて尋ねられると、シフ氏は得意の陰謀論風の香りづけで語った。

「これは、中央銀行が『すべての問題への答は利下げだ』というナラティブを守りたい様子を示すものだ。
中央銀行が利下げすると問題はさらに大きくなっている(のを隠したい)ためだ。
ゼロ金利まで行きつけば次はマイナス金利というわけだ。」

シフ氏はマイナス金利政策が愚かで大きな災難を引き起こすと警告している。
そして、マイナス金利政策は日欧だけでなく米国を含む多くの国々で実質的に残存していると指摘した。

「米国のようにプラス利回りの国々でも、インフレと税金を差し引いた実質ベースの利回りはまだマイナスだ。」

シフ氏は、この状態が市場メカニズムに基づく経済にとっては大きな問題であるという。
実質ベースのマイナス利回りは人々に支出を促すのかもしれないが、同時に貯蓄に対するインセンティブを減じてしまう。
これが貯蓄、そして投資に悪影響を及ぼし、投資が行われなければ資本的支出、生産性向上、経済成長の下押しになると主張した。
経済への悪影響を心配する一方で、シフ氏はゴールド・バグとしては期待できる展開だとも話す。

この政策は金にとっては理想的な政策だ。
金は現実のマネーであり、すべての通貨はマネーの代替物なんだ。
しばしば人々はプラスのリターンを求めて、金利のつかない金よりも代替物を好む。
金を金庫にしまっておけば金利はつかないが、マイナス金利(多くの通貨)よりはゼロ金利の方がいいだろう。


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