海外経済 投資

ハワード・マークス 不確実と低い予想リターンの世界:ハワード・マークス
2020年11月21日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、現状の市場の特徴を不確実と低い予想リターンという2つの観点で説明している。


3月の底値から今日まで信じられないような上昇だった。・・・
コロナ感染がまだ拡大している中で市場が好調なことに困惑した。
しかし、経済は力強く回復し、FRBと財務省の政策が大きな効果を発揮した。
その結果、現在の世界では、いまだに困難な状況にもかかわらず、ほとんどの資産クラスでおそらくこれまで最低の予想リターンとなっている。

マークス氏がWharton Business Dailyで、現在の投資環境を概説した。
予想リターンが極めて低くなっている理由は、高い資産価格と中央銀行によるゼロ金利政策だ。

「金利が(FRBのガイダンスに反して)上昇すると予想する理由はない。
FRBは『少なくとも2022年、もしかしたら2023年まで低金利を続ける』と言っている。
そして、それが予想リターンを支配することになる。」

FF金利が低く留め置かれることで、資産の将来リターンも低く据え置かれる。
これは資産価格が高いことと表裏一体の関係だ。
金利が人為的に押し下げられる過程で、資産価格は将来リターンを先食いする形で上昇してきた。

マークス氏は、予想リターンと実際のリターンとが別物であると説明する。
実際のリターンがどうなるかは、現実を待ってみなければわからない。
ある時は予想を上回るだろうし、ある時は下回る。
予想はあくまで予想でしかない。
しかし、それでも予想リターンは人々の行動に大きな影響を及ぼす。

「今年までの数年間、市場を観察し、大きな不確実性、ほとんどは政治・地政学的なもの、いくつかは経済的な不確実性を観察し、もちろんパンデミックは予想していなかったが、それら不確実性にもかかわらず予想リターンは低く、資産価格は高かった。
投資家は低リターンの世界で良いリターンを稼ぐために高リスクの行動をとっていた。
他の人たちが高リスクの行動をとることで、私たちにとってもリスクの高い市場になっていた。」

すでに年初の時点で市場は脆弱になっていたとマークス氏は語る。
そこにコロナ・ショックが襲った。
わずか1か月で市場は6割を超える下げを演じ、それをオーバーシュートと見たマークス氏は3月に買いに転じた。
同氏の目論見は的中したが、その後の展開はやや意外だったようだ。
市場の回復もまた急激だったのだ。

市場はもう回復し、不確実と低い予想リターンで特徴づけられる世界に戻った。
この組み合わせは魅力的ではない。

魅力的でない市場環境の中で、マークス氏は用心が必要と説いている。
オークツリーではそのマントラ『用心して進め』を守りながら投資活動を行っているという。

有望な投資対象は何かと尋ねられると、マークス氏は「ない」と答えている。
その上で、ましな分野を挙げている。

「でも、いわゆるオルタナティブ投資、私募で流動性の低い投資の方がましと思っている。・・・
人々に軽んじられ無視される市場セクター、人々が取り組まないものにこそバーゲンがあるが、そうしたセクターはない。
でも、私募の市場は公開市場よりも物色されていない。」

投資家へのアドバイスを求められると、マークス氏は、低い予想リターンに背中を押されて過度なリスクテイクをしないよう話している。

予想リターンが低下すると人々は利回りを求めてリスクテイクを増やす傾向がある。
どうやって低利回りの世界で高利回りを得るのかといえば、より多くのリスクを取ることになる。
私はその誘惑に抵抗している。
環境はリスクテイクに追い風ではない。


-海外経済, 投資
-, , ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。