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チャーリー・マンガー 不快な過剰が多くの問題をもたらす:チャーリー・マンガー
2020年2月15日

バークシャー・ハザウェイのチャーリー・マンガー副会長が、人間やファイナンスの本性に根差す危うさ、それが引き起こす市場・社会の劣化を警告している。


人間にはギャンブルを好むとても強い性質がある。
結果が変化するゲームで遊ぶのはとても面白い。
そのため、ギャンブルは人を強く誘惑する。

96歳の賢人がDaily Journal年次総会で、人間の本性を語った。
当たり前のことなのだが、つい投資家が堕ちてしまう落とし穴を言い当てている。
マンガー氏は、同氏が敬意を払う中国において株式がギャンブルの道具になっている現実を紹介する。

「中国では、個人投資家の通常の保有期間が短い。
彼らは株式でギャンブルを楽しんでいる。
本当にばかげたことだ。」

マンガー氏は、中国人が投資以外のことはうまくやっているのにとフォローしている。
また、このことが、投資において合理性を貫くことの難しさを示していると指摘した。

マンガー氏は金融市場全般の話に戻り、不吉な予言を口にした。

多くの問題が起こることになる。
あまりにも多くの不快な過剰が存在する。

マンガー氏は、EBITDA(償却前営業利益)を例に、市場のバランス感覚が歪みつつある現状を警告する。

「修正後EBITDAのように、いつも何か新しい名前のものが人々に誤解を与えようとする。
修正後EBITDAを口にするようになった時に生じる基本的・知的な不誠実について考えるべきだ。
ほとんどあなたがおかしい人間だというようなものだ。」

ベテラン投資家なら既視感のある話だろう。
世の中には、キャッシュフローの裏付けのないものに何とかして高い値付けをしようとする習性の人間がいる。
本来なら、最終利益に対するPERを見るべきところを、特別損失を戻したPERを使おうとする。
それでも利益が小さすぎると、金利や償却を戻したEBITDA・修正後EBITDAを使うことになる。
それでも利益が出ていないと、売上高を用いたPSRを使ったりする。
売上高さえ十分に立っていないと、それに代わる何か、多くの場合はサンク・コストと同義に近い数字によって株価を正当化しようとする。
こうした怪しいロジックは2000年のドットコム・バブルでも《常識》だったし、現在のユニコーン企業にも見られる現象だ。

マンガー氏の怒りはバリュエーションだけにとどまらない。
プライベート・エクイティー(PE)ファンドがこのロジックを弄して手数料をかさ上げしていると指摘する。

「1つのPEのグループから他のグループに(未公開株が)売却され・・・同じ知性の集まりをを保有しているだけなのにフィーがどんどん上がっていく。」

これも大昔の日本の不動産バブルを知っている人なら既視感があるのではないか。
銀行から融資先の不動産業者が3-4社呼ばれて支店長室に集合し、輪を作る。
右手には物件の権利証を持っている。
権利証を右の人に渡し、左の人から権利証を受け取る。
これを繰り返し権利証が一周すると、物件の価格が倍になっている。
彼らの間での《真正売買》によって、数分のうちに保有物件の価値が倍になるのである。
しかし、これだけなら手数料は関係してこない。

同様のことを未公開株で、ファンドがやったらどうなるか。
「修正後EBITDA」のような大甘の経営指標を元に、PEファンド間の売買で《最近の売買事例に基づく評価額》をどんどん上げていったらどうなるか。
それでもファンドは(多くのファンド契約で)投資家からの受け取る手数料を多くすることができるのだ。

大恐慌や第2次大戦をリアルタイムで経験した老投資家が怒るのは、投資家の利益を損なう行動であり、それがもたらす市場・経済の脆弱性、そして社会の劣化である。

ファンナンスはその本性から大きくなりすぎようとし、それが不快な過剰になる。
もちろん私は嫌いだし、国のためにもならない。
不快な過剰が大恐慌につながり、ヒトラーの台頭につながったと考えている。
不快な過剰、愚かさ、貪欲などのために最後には大きなツケを払うことになるだろう。


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