オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、現状の相場観やFRBのジャンク債買入れについてコメントしている。
「私は(コロナ・ショック前から)守りを主張してきた。
メモ『較正』の要点は、状況に応じてスタンスを順応させるべきであり、これまで守りを固めてきた人はそこまで守るべきでないというものだ。
みんな最初のところを読み飛ばし、ハワード・マークスが買えと言っていると反応した。」
マークス氏がBloombergで、6日付メモの真意を明らかにした。
同メモはメディアで、同氏が強気転換したと報じられていた。
マークス氏によれば、同メモで対象としたのは守りを続けてきた人だったのだという。
そうした人たちに守りを少し解くよう促したのだ。
一方、強気だった人に対してさらに強気になるよう奨める意図はないという。
マークス氏は、オークツリーが3月に積極的に買い進んだことを明かした。
パニック売り、やむを得ない売りが市場に溢れる中、良い買い物ができたと満足げだ。
今回の買い物について振り返る。
滝のように落ちている最中に買うのはいつも試練であり、いつも交錯した感情を引き起こす。
私たちは買い、較正し、たくさん買った。
ただし、翌日以降にもお金を残すよう規律を保った。
マークス氏はかつて、投資家とは戦士のようなものと言っている。
感情を抑え、分析的で、素早く行動できないといけない。
感情に流され、規律のない売買をしていては勝てない。
マークス氏は市場環境が目まぐるしく変化していると指摘する。
出演(13日)の時点の市場環境を説明する。
「3月23日につけた下値では、リスク/リターンの比率はかなりリターンの側に傾いていた。
株価が下がるにつれ、リバウンドの可能性が高まり、さらなる下落の可能性は低くなる。・・・
今ではその度合いは少なくなった。」
つまり、買いの魅力は少し減ってしまったわけだ。
その一方で、マークス氏は調整が入る可能性が高いと示唆する。
過去と比べると、今回の上昇は記録的なスピードと(戻しの)比率になっている。
過去、弱気相場の最中の上昇はほとんどが後で下げている。
通常、市場は一直線には上昇しないものだ。
マークス氏は、現状から下げても驚かないと話す。
その一方で、仮にそうだとしても、投資家は半年ほど前と比べたら守りを軽くすべきと奨めている。
マークス氏は、FRBがジャンク債の一部の買入れを決めたことについて驚きを隠さない。
2か月前にある連銀総裁と会食した時には、FRBは米国債しか買わないと話したのだそうだ。
FRBにとっても想像を絶する方針転換だったのかもしれない。
かくして、ジャンク債買入れをめぐって、FRBとマークス氏はライバル同士になったのだ。
マークス氏は、戦士らしく、厳しくモラルを問うている。
理由は、市場を再び上向かせることだが、これには私たちがモラル・ハザードと呼ぶものを生むトレードオフがある。
自分の行動の結果で苦しんでいる人たちを救済する。
私はそのトレードオフについて納得していない。