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一過性だとミスマッチが解消しない:デービッド・アインホーン

デービッド・アインホーン氏率いるグリーンライト・キャピタルは、インフレ・リスクが上振れる可能性があるとして、リフレ・トレードの構えを強めている。


(インフレ抑制についての)コンセンサスは、インフレを制御するのにわずかな金融政策の調整だけで十分というものだ。
最近の市場の反転もその考えを反映している。
私たちはその真逆の側の考えに立っており、現在と同様あまりにも多くのドルがあまりにも少ない財・サービスを追いかけていると考えている。

グリーンライトが、第2四半期の投資家向け書簡で、足元の市場のコンセンサスとは逆にインフレ持続を予想している。
最近のリフレ・トレードの巻き戻しにもめげず、従来からの方針を継続しているようだ。

同社ファンドの第2四半期はあまりよい出来ではなかった。
S&P 500が8.5%のリターンを上げる中で、-2.9%に終わっている。
要因は明らかだ。
ロングが+5.3%の寄与だったのに対し、ショートとマクロがそれぞれ-4.6%、-3.3%だった。
強気相場が続く中で(ヘッジファンドの常として)ショートも含めて組み立てていたポートフォリオがマイナス・リターンになったわけだ。
ただし、書簡の書きぶりを見る限り、失敗を悔やむ様子は見えない。
むしろ、これからを信じて、仕込みを進めているといった雰囲気だ。

グリーンライトのインフレ観には興味深いものがある。
リアルの世界の財について、資本の振る舞いがインフレを持続的なものにするとの仮説を立てている。

「伝統的な製造業の企業は低いバリュエーションにあり、内在的資本コストがとても高いために、投資家は事業拡大より配当・自社株買いを要求してきた。」

つまり、モノづくりの分野で過少投資が続いてきたというのだ。
これが、現在の需給のミスマッチを解消する妨げになっているという。
製造業が再び投資を活発化させるには、売価の見通しが魅力的でなければならず、持続的物価上昇とより高い物価上昇期待が必要だという。
ただ、FRBは足元の物価上昇を「一過性」と言っている。

結果、私たちは、過少投資の継続が多くの製造業での持続的な物価上昇と製造業に関与する企業の利益拡大につながると信じている。
ポートフォリオのロング部分では、その恩恵を受ける企業に重点を置いている。

グリーンライトは、インフレ上昇を構造変化によるものと考えている。
もちろん政策による面もあるが、資本市場、ESGも効いており、さらに労働市場も効いてくると指摘している。
世間ではモノの要素が小さいテクノロジーに注目が集まりがちだが、よりリアルなモノづくりの分野がインフレの源泉になりうるとの視点だ。

では、こうした持続的なインフレ要因に対し、FRBはどう対処するのだろうか。

「いわゆるテイラー・ルールによれば、現在正しいFF金利は約5%だ。・・・
私たちの答えは、もしもそれが必要なら、実行されないだろうということだ。
パウエル議長は長い間極めて緩和的な政策を続け、その後徐々に引き締ると約束している。
データがどうなろうが、議長は必要な言い訳を探すのだろう。」

グリーンライトは、物価の制御について、FRBが後手に回ると考えている。
インフレ・リスクは上昇にブレる可能性があるということだ。
このため、同社ファンドでは、ロング部分だけでなく、マクロ部分でも手当てがされているという。

ポートフォリオのマクロ部分では、インフレ・スワップと金を保有している。
前者は、市場予想よりインフレが高まれば恩恵を受ける。
後者は、FRBが出遅れて、追いつくつもりがないことを市場が理解した時に恩恵を受ける。


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