海外経済

ロボットは感染症にかからない:デービッド・ローゼンバーグ
2021年2月18日

エコノミストのデービッド・ローゼンバーグ氏が、米労働市場が迎える厳しい将来について解説している。


自動化の増加と労働力の減少(これ自体が所得の労働力への分配の継続的低下を表している)は過去30年間の特徴だ。
ジョー・バイデン新大統領がこの変化を税制によって抑制しようとしても、反転させることはできず、これが明確な社会的意味合いを持つことになろう。
今回の危機の特徴的性質が恒久的な労働者の解雇になるつつあるからだ。

ローゼンバーグ氏がFinancial Postで、コロナ・ショックが労働者からロボット等への置き換えを加速させると書いている。
こうした変化は何も今始まったものではない。
しかし、危機の度にギアが変わってきた。
同氏の次の言葉が印象的だ。

ロボットは感染症にかからない。

確かに、自動化できる業務なら、ウィルスに負けない機械を用いれば問題は解決する。
コロナ・ショックとは自動化に極めて適した危機だったのかもしれない。

ローゼンバーグ氏は、米企業のしたたかさを示す経験則を紹介している。

「1人あたり生産量の上昇が短期的に噴き上がるのは景気後退後に共通する現象だ。
この現象は、生産性の高い企業が停滞期を生き延びる企業であり、生産性の高い労働者が職を守った労働者であることの副産物だ。
しかし、ここで重要なのは、これら生産性向上のすべてが、幅広い労働賃金の低下のトレンドの文脈で起きたことだ。」

労働生産性の向上は確かに効率の改善の結果であったのだろうが、それが全体のパイを十分に増やすものではなかったため、労働への分配は減少した。
ローゼンバーグ氏は、パンデミックの間にほとんどの企業、特にサービス産業がやったことは「どうやって同じことを少ない人数でやるか」だったと指摘する。
つまり、生産性改善の正体は口減らしだったのだ。
(もちろん多くの企業、特に中小企業でそれは必要だった。)
そして、口減らしの手法が自動化などによる効率改善だった場合、これは非可逆な変化になるのだろう。

パンデミック前に数百万人を雇用していた例えば宿泊・食品サービス・小売などの産業は、今後数年技術の進歩の恩恵を受けることになろう。

ローゼンバーグ氏は、低賃金の単純労働ほど自動化しやすい傾向があると指摘する。
つまり、今後、低賃金労働者を中心に失業が続くことになる。
同氏は市場への含意については明記していない。
弱気派でありデフレを予想している点から考えれば、デフレ圧力になるとの筋立てなのだろう。
一方で、政策対応への含意を考えれば、逆の解釈も成り立つ。
金融・財政政策は長く長く拡張的であり続け、それがインフレ圧力になるとの見方もありえよう。


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