ロバート・シラー:また行動経済学がノーベル賞

リチャード・セイラー シカゴ大学教授のノーベル経済学賞受賞を、ロバート・シラー教授が喜んでいる。
行動経済学者の受賞はGeorge Akerlof、Robert Fogel、Daniel Kahneman、Elinor Ostrom、シラー教授に続いて6人目だ。


シラー教授はわけあって大いに喜んでいる。
教授はProject Syndicateでこう明かす。

「職業生活の一時期、心理学的な研究を経済の一部に取り入れるべきという考えは長年にわたって敵意を呼んできた。」

行動経済学や行動ファイナンスという分野は、どうやら経済学の世界で迫害に似た扱いを受けてきたようなのだ。
6人という数字はノーベル経済学賞受賞者の6%にあたる。
また、6人中4人がアメリカ経済学会の会長を務めていることを考えると、今では認知を得ているようだ。
しかし、かつては違った。

「セイラーから以前聞いたところでは、1990年にノーベル経済学賞を受賞したマートン・ミラー(2000年没)は、シカゴ大学の廊下でセイラーとすれ違う時、アイ・コンタクトさえしようとしなかったのだという。」


偏狭で高慢ちきな学者のイメージにぴったりなエピソードではないか。
ミラーの論文『Behavioral Rationality in Finance.』では、心理学は基本的に金融論には関係ないと説かれており、シラー教授はその結文を紹介している。

「我々が(経済)モデルからこうした話を排除するのは、その話がつまらないからではない。
話が面白すぎて、我々が主に関心を寄せるべき広範な市場の力から目を逸らされてしまうからだ。」

シラー教授は、ミラーらのやり方だけが経済を記述する唯一の方法論ではないと主張する。
行動経済学には経済学に貢献するユニークな特長があり、セイラー教授はそこで実績を積み上げてきたという。
その一つは、人々が自身の衝動をコントロールできなくなる傾向だ。
これは経済・金融の分野で言えば、老後の蓄えを十分にできない人々の話になる。
人生でモジリアニ・ミラー理論を知らなくて困る人はほぼ皆無だが、老後の蓄えが不足して困るひとはたくさん存在する。

人々の貯蓄行動を改善するのは、小さなことでも取りに足りないことでもない。
ある意味、それは生き死にの問題だ。
さらに敷延すれば、私たちが人生において充実・満足を達成できるかを決めることなのだ。


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