ロバート・シラー:ある日突然新たな物語が始まる

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資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、史上最高値を追い続ける米国株市場に危機感を露わにした。
クラッシュの可能性を指摘しつつも、現状がまだ数年継続する可能性もあるのだという。



Yale’s Robert Shiller: People are worried about technology and their job from CNBC.

「今のところ、大規模に起こり始めているとは見えない。
ピークから2-3年前の状態なのかもしれない。」

シラー教授は、米市場の高値崩壊プロセスがいまだ観察されないとCNBCで話した。
資産価格の第一人者である教授は、感覚的には市場が過大評価されていると感じている。
また、教授が調査・公表している株価信頼感指数によれば、個人・機関両方の投資家で市場の割高感が高まっているという。
歴史を丁寧に調べ上げてノーベル賞を獲った教授は、大恐慌前の1929年の事例を解説した。

「1929年のVIXは計算できないが、実質的なボラティリティについては話ができる。
1929年、クラッシュの直前、今ほどではないがボラティリティはかなり低かった。
それが突然爆発した。」

現在の異様に低いボラティリティはシャープ・レシオを介して株高要因となる。
低金利が同レシオを高く見せるとの指摘もあり、株高を誘引しやすい。
この低ボラティリティは一夜にして終わり、聞いたこともない話が語られるようになる。

「1929年8月28-29日、それまでまったく語られていなかった新しい話、暴落と不況の話が忽然と現れた。
驚くべきことで、多くの人は引き金が何だったのかと考えたが、何もなかった。
クラッシュ自体がクラッシュの引き金となったんだ。」

シラー教授の洞察には説得力がある。
市場の転換点を言い当てるのに、ファンダメンタルズは無力だ。
ファンダメンタルズは趨勢や確率を教えることはできる。
しかし、いつ転換するかを正確に言い当てるのは不可能と言っていい。

シラー教授は、引き金を引いた本当の犯人は隠れた恐怖・不安だったのだと考える。

「私はその時も底流にあったのは人々の恐怖だったのだろうと思う。
こうしたことは見つけるのも文書にするのも難しい。」

シラー教授は、まったく異なる市場と前置きしながらも、2006年にピークを迎えた住宅バブルについても語った。

「2005年に『住宅バブル』をニュース検索すると実質的にほぼ誰も言及していなかった。
2005年終わりから2006年になると、この言葉が現れ始めた。
人々は再評価をしていたんだろう。」

シラー教授によれば、現在の割高に見える株式市場では、まだこの「再評価」がさほど進んでいないように見えるのだという。