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ロバート・シラー教授の自白
2020年7月19日

ロバート・シラー教授が、米住宅市場の現在のムードを「サバイバル」と形容しつつ、それでもしばらく上昇を続ける可能性について説明している。


「(住宅市場は)2012年以降低いところからブームを続けてきた。
これは株式市場のブームと似ており、同様にこれまで実体経済との分断がみられるという問題を抱えている。
歴史が示すのは、予想するわけではないが、人々が考えを変え、価格が下落する可能性がありうるということだ。」

シラー教授がFOX Businessで、米住宅市場について下落の可能性は否定できないと話した。
もちろん、教授が指摘するのは可能性にすぎない。
当然、上げる可能性もあると話す。
教授は、理論より現実に重きを置くから、一方方向の予想を述べることはしない。

ベン・バーナンキがやっているわけではないが、FRBが刺激策を講じているのは(リーマン危機と)同様だ。
前回のナラティブは現実の危機が回避されたというもので、ナラティブにおいては、10年前は過剰反応で住宅・株式市場が下落し、間違いだったと思われている。
こうしたナラティブの下では、まだしばらく上昇が続く可能性がある。

FRBが介入すれば(経済はともかく)市場は上がるという条件反射を市場は刷り込まれている。
今回もFRBが介入した。
ならば前回と同じ過ちは犯すまいと考える投資家が多くても驚きではない。

シラー教授は、長い上昇局面でも「根拠なき熱狂」に代表される投資家の高揚感のような感覚が今は存在しないと話す。
その話の中で、自身の過去の行動を自白し、時効を主張するかのような言い訳を付した。

「1980年代にコンドミニアムを購入したが、純投資だったので一度も見なかった。
二度とやらなかった。
だから、こうした心理を理解できるようになったんだろう。」

買えば儲かるといった安易な信仰が芽生え、実際にそういう例が出てくると高揚感を生み出す。
伝染し、熱狂するのが過去のバブルだった。

シラー教授は、現状が「サバイバルのムード」にあると表現する。
それでも上昇が続く可能性を否定しない。
教授は、現在に似た時期として第2次大戦中の1943年に始まった住宅ブームを挙げている。

まだ戦争に勝っていないのにどうしてだ。
しかし、人々は戦況が有利になると予想し、投機を始めたんだと思う。
当時も熱狂的な時代ではなかったが、投機を促した。

シラー教授は、資産価格の実証研究でノーベル賞を受賞した。
株式市場だけでなく、住宅市場でも住宅価格指数を開発するなど、最高権威といっていい学者だ。
CMEと共同で住宅の先物市場開設にも尽力している。
そのシラー教授が、住宅市場の発達ぶりにやや不満を述べている。

「もう1つ住宅価格で不思議なのは、毎年毎年同じ方向に動くことだ。
ファイナンス理論はランダム・ウォークを教えているのに、住宅価格はランダム・ウォークには見えないし、ランダム・ウォークではない。」

シラー教授は、先物市場の発展を通して住宅市場の効率の向上を図らないといけないと問題意識を述べている。


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