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ロシア人が受け取るソビエトの年金:ジム・ロジャーズ
2020年11月4日

ジム・ロジャーズ氏が、多くの国で見られる貨幣増発の末路について興味深い例を引きながら解説している。


現時点では需要はどこにもないから、間違いなくインフレでなくデフレ的だ。・・・
でも歴史を通して大量の貨幣が増発された時、歴史では明らかに最終的にインフレ上昇につながった。
貨幣を大量増発し、需要が戻ると、インフレにつながってきた。

ロジャーズ氏がPeak Prosperityのインタビューで、今後経済が回復につれてインフレが問題になるだろうと予想した。
財政悪化と貨幣増発の組み合わせは、2つのうちの1つの道を辿ると言う。
デフォルトか、インフレ昂進かだ。

自国通貨建てで債務を発行している国では、後者が問題になるのだろう。

「今では新たな理論が流布している。
問題があって、誰かが理論を唱え、それが理屈に合っているように聞こえると、みんなそれを使うようになる。
マルクスを思い出せばいい。・・・
現在の新たな理論はMMT、More Money Today(もっと今お金を)だ。」

ロジャーズ氏は、とにかくバラマキを求める風潮を警戒している。
今はばら撒かれたお金を受け取って幸せになったように感じても、その付けはいつか回ってくるからだ。
債務過多の付けが回った一例を、ロジャーズ氏はお気に入りのロシアの前身ソビエトを引いて説明する。

「ロシアでは今でもたくさんの人がソビエト連邦の年金を受け取っている。
でも、そのお金は価値がないんだ。
ロシア政府は、ソビエトが約束したお金を支払っていると言う。
そうなんだろうが、現在のルーブルでソビエトの年金はたいした金額にならないんだ。」

ロジャーズ氏は、国家とは正直でなく、信じれば問題を抱えることになると警告する。

確かに、社会保障は国家が債務・負担の問題を解決するのに手を付けやすい分野だ。
国債をデフォルトしたりリスケしたりすれば、政府の資金繰りが難しくなる。
一方、社会保障の国民負担を引き上げたり、給付を引き下げたり、受給年齢を後倒ししたりしてもいわゆるデフォルトとはみなされない。
それどころか、金融市場からは財政再建策として好感される。

国家が《社会保障制度は安全》といったところで、それは国民の負担において制度を安全にしているにすぎない。
制度は安全なのかもしれないが、国民生活はむしろ危うくなる。
政府はそれがわかっていてもやらざるをえないからやっているだけなのだ。
それに気づかない人がいるとは思わないが、もしもいるならとても危険なことだろう。

ロジャーズ氏は、多くの国が「もっと今お金を」政策によって債務問題を膨らませていると指摘する。
特に米国は最大の債務国であり、主要準備通貨ドルを持つ国だ。

「多くの歴史上の準備通貨、価値の交換手段が100-150年続かずフェイド・アウトしていった。
理由は過剰債務だ。」

米国についての処方箋を尋ねられると、ロジャーズ氏は自身の無力を達観していると感じさせる答を返した。

「米国について私がしゃしゃり出て
『この支出、ばかげた支出を止め、貨幣増発を止め、毎年の財政を均衡させよう。』
と言ったら、たとえみんな『彼は正しい』と言ったとしても、私は暗殺されるだろう。
結局、誰かが『これは痛みが大きすぎる』と言い出すものなんだ。」

ロジャーズ氏は、現在の経済・政治の方向性に大きな問題があると確信しながらも、それを変えることはできないと達観しているのだ。
結局は歴史において繰り返したことが再び繰り返すことが多いことも、その見方を強めているのだろう。
歴史に学ばない大統領をあてこすりながら、歴史に学ぶ重要性を説いている。

歴史の主たる教訓とは、誰も歴史に学ばないことなんだ。・・・
歴史は彼より、私たちの誰よりも賢いものなんだ。

ロジャーズ氏は、現在が困難な状況であると考えている。
また、自身や国家にやれることも限られていると感じているようだ。
その証拠に、気分が滅入るような対応策を語っている。

もしも私が世界の王なら、私は退位するね。
たぶん各国の中央銀行を廃止して退位する。・・・
そして、安全な場所に駆け込むよ。


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