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レバレッジ依存の経済の行く末:モハメド・エラリアン
2020年6月16日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、債務やレバレッジに依存した経済・経済回復が迎えるであろう試練について書いている。


この大きな財務レバレッジ拡大が賢明かつ持続的となりうるのは、経済成長が急速に上昇し(レバレッジを)正当化する場合のみだ。

エラリアン氏がFT(Egypt Today転載)で、将来世界に訪れる岐路について書いている。

リーマン危機は、民間セクター、家計での住宅バブルによって起こった危機だった。
家計とその資金調達を助けた金融セクターのレバレッジ拡大が脆弱性を蓄積していった。
危機を脱するため、FRBは非伝統的金融政策を実施し、中央銀行のレバレッジが高まった。
同時に、超低金利をチャンスと見た民間セクター、とりわけ企業が借金をして事業投資、M&A、自社株買いを行った。
結果、中央銀行とともに企業でもレバレッジが高まった。

コロナ・ショックでは、その企業の債務が大きなリスクにさらされた。
多くの人が以前から企業債務が過剰な状況にあると指摘していたが、FRBは前例のない救済策で同市場を救済した。
また、今回は財政当局も大規模な救済策を打ち出した。
これにより、政府でもレバレッジが高まる結果となっている。

問題は、レバレッジを高めることに見合うだけの経済成長が本当に起こり、政策が正当化されうるかということになる。
もちろん十分な経済成長が起こることが望まれるが、仮にそうならなければどうなるか。

経済成長が期待外れに終わると、経済・市場は大きなデット・オーバーハングに対処せざるをえなくなり、さらに中央銀行が市場を歪め、潜在経済成長率が低下する結果となる。
広範な債務リストラも起こり、無秩序な不払いが起こるだろう。

デット・オーバーハングとは、経済主体が過剰な債務を抱えることによって、十分な投資が行われない(過少投資)等、成長力の阻害要因となる現象だ。
また、中央銀行が市場を歪めると市場の価格発見力が阻害され、市場の持つ資本の最適配分機能が低下することで、潜在成長率が低下するとの主張もよくなされる指摘だ。
本当に市場にそうした力があるかどうかは疑問もあるが、お金の使い方について市場と政治家・官僚のいずれにより高い能力があるかと問われれば、後者とはいいがたい。

エラリアン氏は、経済回復の先行きは不透明だとして、デレバレッジを急ぎすぎないよう奨めている。
代わりに「革命的な対処法」が必要とし、政府・投資家・企業に注文を付ける。

政府は、社会の幸福以上の恩恵をもたらす高い耐久性のある経済成長のための基盤強化を確実に行わなければならない。
投資家は、倒産リスクや資本の棄損へのエクスポージャーを最小化するよう規律を徹底しなければいけない。
最後に、企業は、さらなる金融工学の駆使や経営者報酬引き上げの誘惑に抵抗することが必要だ。

投資家や企業へのアドバイスを別として、政府へのアドバイスがあまりにも抽象的である点が問題の難しさを象徴しているのではないか。


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