レイ・ダリオ:平均が金融・財政政策を歪める

Bridgewater AssociatesのRay Dalio氏が、社会・経済のありようを平均値で見ることの弊害を指摘している。
米社会では分断が続いており、これが政府の財政問題をいっそう難しくするだろうと示唆した。


「平均値を見ることはより明細な統計を用いた場合より、FRBに平均的な人の経済を実際より健全と判断させてしまい、経済・労働市場・インフレ・資本形成・生産性に起こっている最も重要な物事を誤解させてしまう。
そうしたことはFRBの不適切な金融政策につながりかねない。」

ダリオ氏には米社会に対する強い危機感があるようだ。
自身のSNSで、多くのデータやグラフを交えて米社会の実態を説明している。
過去数十年、山あり谷ありであったものの、米経済はさまざまな意味で改善してきたことになっていた。
それはリーマン危機を経験した今でも続き、米経済は良好ということになっている。
しかし、こうした見方は経済全体の平均値を見た場合にすぎない。
個々の中身を見てみると、とても米経済・社会が改善したとはいえない。
そのことはポピュリスト政権が誕生したことに如実にあらわれている。


ダリオ氏は米社会をトップ40%とボトム60%に分けてデータやグラフを検証している。
平均が上昇したのはトップ40%が豊かになったためであり、多くのグラフでボトム60%は横ばいだ。
インフレを加味する前の統計だがら、ボトム60%はインフレの進展とともに貧しくなっているのだ。
ダリオ氏が示すデータは家計の経済を示すものから、社会の分断・政府への不信を示すものにまでに及ぶ。

ダリオ氏は、政策決定者に平均値に惑わされないよう求めている。
トップ40%とボトム60%の両方の状態を見ながら政策策定すべきと指摘する。
そして、資産管理を行う投資家もまた、この錯覚に陥らないよう用心すべきという。

「今後5-10年、2つの経済の間のストレスは強まると予想している。
人口動態の変化により年金・医療・政府債務の約束を果たすのがますます難しくなり、技術の変化の雇用への影響と富の格差が拡大するからだ。」

ダリオ氏は昨年、債券のスーパーサイクルが終われば、大きなスクイーズが起こると予言した。
主要国でさまざまな形態の債務が拡大し、それらを履行するのが難しくなるという予想だった。
(債務問題として「日本は限界に近く、欧州は一歩後ろ」とし、次に米国、中国が続くと話していた。)
こうした予想の前提には、社会の分断が財政問題の解決をいっそう難しくするとの見方があるのであろう。


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