投資

レイ・ダリオ氏、ビットコインで混乱する

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏がビットコインなど暗号資産について質問を受けているが、次第に論理が混乱していく様が面白い。


私は、すべての現金の代替物、いくつかの金融資産の代替物について検討する価値があると思う。
だから、ビットコインにメリットがあるというのも1つの可能性だ。

ダリオ氏がCNBCで、「現金はゴミ」とする一方、ビットコインに対して前向きな発言をした。
ところが、その直後ダリオ氏は、ビットコインにネガティブともとれるファクトを付け加えている。

「私はビットコインを保有しており、それは保有する金や他の資産クラスに対して小さなパーセンテージだ。」

ダリオ氏の発言にインタビュワーや視聴者は戸惑う。
同氏はポジティブなのか、ネガティブなのか。

「ビットコインにはメリットがあると思う。
プログラムされた時から今日まで試練を乗り越え、驚くほどの成果を上げている。
一方で、もしも成功すれば、政府が嫌がるだろう。」

上げたり下げたり、ダリオ氏のビットコイン評は目まぐるしく方向性が入れ替わる。

ダリオ氏は以前、ビットコインなど暗号資産に対して否定的な意見を持っていた。
ところが、今年に入り同氏は、ビットコインは投資可能との見解を自社サイトで公表している。
暗号資産村は大いに沸き立ったが、実際にはダリオ氏の書きぶりはかなり控え目だった。
だからこそ、同クラスへの配分が小さなものにとどまっているのだろう。
過去否定的な意見を述べてきたダリオ氏にとって、この宣言は、前言を撤回し少額をポートフォリオに入れるための禊のようなものだったのだろう。

ダリオ氏の混乱を誘う語りはまだ続く。

「最終的にもしも成功すれば、規制が潰しにかかるだろう。・・・
しかし、それは、今いる場所がない、価値がないということを意味するわけではない。」

徐々にダリオ氏のイメージが明らかになってきた。
長期的には成功しないが、短期では何か意味があるとの考えのようだ。
ところが、その後の展開がまた混乱を誘う。

「歴史的視点に立てば、多くのものが本質的価値がないのに価値があると考えられ、過熱し、そして冷えた。」

ダリオ氏はバブルになるのを願ってビットコインを買っているのだろうか。
確かに、暗号資産については、全損を覚悟してアップサイドに賭けるという考えはありうる。
今日日これほどのボラティリティのある市場は珍しく、リスクを好む人たちには魅力的な市場だ。
宝くじやギャンブルに比べてピンハネの割合も少ないかもしれない。
ただし、この話はダリオ氏らしくない。

ダリオ氏は、その後もしばらく興奮した様子で、文脈のはっきりしないことをしゃべっている。
どうやら、しゃべりながら次に話すべきことを考えていたようだ。
しばらくして本来のダリオ氏が戻ってきた。

投資分散の上で価値が大きいと思う。
投資家が自問すべき本当の質問は、どれだけこうしたものを持っているか、だろう。

他の資産クラスと異なる挙動を見せる暗号資産が、特に不換通貨制度の中で、ポートフォリオの分散に役立ちうるとの指摘だ。
投資分散の重要性を日頃から説いているダリオ氏だけに、腑に落ちる主張である。
長期的にどうなるかは別として、多くの資産クラスが正の相関をとりやすい現在、特異なクラスがブリッジウォーターにとっては有用となりうるのかもしれない。

この捉えどころのないインタビューを米金融メディアはどう報じたか。
インタビューを行ったCNBCのタイトルは「レイ・ダリオ:暗号資産が成功すれば、規制が潰しにかかる」とネガティブな面が前に出ている。
Yahoo Financeも「レイ・ダリオがビットコインと暗号資産に警告:成功すれば規制が潰しにかかる」と似たような取り上げ方だ。
一方、Bloombergでは「『現金はゴミ』とレイ・ダリオ氏、暗号資産の保有を支持」とポジティブなタイトルになっている。


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