レイ・ダリオの長期サイクル終期の投資方程式

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、足元の投資環境をおさらいしている。
現在は1930年代終わりに似ているとし、債券・金が買われるのは当然と説いている。


1) 長期債務サイクルの終焉中央銀行が無力に)
  +
2) 格差拡大と政治的二極化
  +
3) 新興勢力による既存の覇権への挑戦
  =
債券価格急騰、金価格が上昇で、1930年代終わりと類似

ダリオ氏が自身のSNSに現状の投資環境を導出する方程式を書いている。
同氏のアイデアは単純だ。
自身が公表した「30分で判る 経済の仕組み」のフレームワークに経済をあてはめ、現在が1930年代終わりと同様、長期・短期ともにサイクル終期にあるとと指摘している。

この局面は金融・財政政策ともに伸び切ってしまう局面でもある。
財政を使い政府債務が大きくなれば、もっぱら金融政策に頼らざるを得なくなる。
金融緩和が行われれば金利が下がり、これは政府財政を支えるのに好都合だ。
低金利になればまた財政が使われるが、それも金利が底に達すると限界が見えてくる。
短期金利が底に達すると中央銀行は長期金利にも手を付ける。

ダリオ氏は似たことが1930年代から1940年代のほとんどにかけて起こったと指摘する。
米短期金利は1940年代終わり、長期金利は1950年代から緩やかに上昇を始めた。

そして、1980-82年、インフレ昂進と金利急騰が起こる。
このインフレ昂進を抑え込むため、ポール・ボルカーFRB議長(当時)は「イエス・キリスト生誕以来」最高と言われた水準にまで利上げしなければならなかった(ボルカー・ショック)。


1980-82年に至る期間、金の急騰が見られた。・・・
金の強気相場は1971年に始まっている。
ドルと金を結び付けていたブレトンウッズ通貨システムが崩壊し、現在の不換通貨システムにとって代わられた時だ。・・・
結果起こったインフレ/金の急騰の間、債券は大きな弱気相場となったが、それは1979-82年の極端な金融引き締め政策により反転した。

ボルカー・ショックを境に、米経済は「鏡写しの反転」を迎える。
インフレからディスインフレへ、金利上昇から金利低下への転換だ。

「これは、生産能力が増大するにつれ、強いデフレ的力が働いているためだ。
これらの力は極端に緩和的な金融政策のニーズを生み出し、そのために中央銀行は金利を押し下げ、莫大な公的債務拡大を助長し、債務はマネタイズされた。
そして債券価格の急騰を生み、これが1980-82年の金と相対するものなんだ。」

この長期サイクルが始まって約40年、再び転換点が近づいているのかもしれない。

ダリオ氏は、歴史がそのまま繰り返すとは限らないと書いている。
しかし、それでも現在の状況を理解するには1935-45年を回顧することが役立つはずという。

ダリオ氏は先日、金をポートフォリオに組み込むよう奨め、世のゴールド・バグたちを喜ばせた。
注目度は高く、まったく関係のない暗号資産フリークまでも喜ぶ始末だった。
(ダリオ氏は暗号資産には否定的だ。)
しかし、ダリオ氏が分散投資のために金を奨めるのは今始まったことではない。
分散投資のための金というなら、さして騒ぐほどのニュースではなかった。

今回、ダリオ氏は従前どおり現在が1930年代終わりと似ていると指摘した。
一方、金が上昇を始めたのは1971年。
実るまで30年以上かかったことになる。
足元の金価格上昇と重ね合わせるべきなのか。
もしもそうでないなら、今すぐの金投資は少々ロング・ショットではないか。
それとも、インフレがすぐさま急騰するとの見通しを持っているのだろうか。


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