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レイ・ダリオのメイン・シナリオ
2020年3月24日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、直面する2つの危機のジレンマについて説明しており、明確化のため重複を恐れず紹介しよう。


コロナウィルスの医療・経済・市場への影響は、ほとんどの人たちが伝えているよりはるかに大きくなると信じている。・・・
それ(企業・個人への必要な支援)を行うためには、財政政策立案者(つまり指導者と国会)は『ヘリコプター・マネー』として分配される莫大な金額の支出・分配を行わざるをえない。
これが今、トランプ大統領が人々に1,000ドルずつ配ろうとするように、様々な方法で起きている。

ダリオ氏が自身のSNSで、先日の「第2の危機」発言についてより明確に述べている。
当時、トランプ政権は1兆ドル規模の財政対策を提案していたが、ダリオ氏は最低でも1.5-2兆ドルは必要と推計していた。
その後、トランプ政権は2兆ドル程度まで規模拡大すると示唆している。

困った人の救済、急激に悪化する経済のために有効に使われる限り、財政支出を惜しむべきではない。
しかし、その一方で、ほとんどの政策にはコストが存在するのも厳しい現実だ。
トランプ政権は2017年の大幅な法人減税の他、今回の財政政策でも減税をメニューに挙げている。
財政赤字は拡大し、財源を探すどころの話ではない。
こうした事情は程度の差こそあれ、多くの国に当てはまる。

ダリオ氏は、莫大な財源をどこから捻出するのかと読者に問うている。
もちろん、主たる財源は国債などによる借金にならざるをえない。

ほとんどの人・企業が損失を被っているため、貸し手は貸せるお金を持っておらず、その時に政府は莫大なお金を借りなければいけない。
これが金利を押し上げ、すべての人にとってもっと壊滅的になる。

平時であれば(国内外の)人々が余ったお金で国債を買ってくれる。
これが、財政悪化の中でも国債利回りが上昇してこなかった一因だ。
しかし、今、人々が貯蓄に回せるお金は減りつつある。
これまでのように積極的に国債を買おうとする(日本の場合、みんなが貯蓄しそれが国債に回る)のか、少なくとも程度は減るのだろう。

これが金利を上昇させ、債務危機を引き起こすというのが、ダリオ氏が指摘した「第2の危機」であった。
ただし、「第2の危機」は決まった将来ではない。
ダリオ氏は、中央銀行が二者択一を迫られるという:

  • 金利上昇を容認するか
  • 債券を買うために莫大なお金を発行するか

前者ならば、「第2の危機」が訪れる。
後者ならば、「現金はゴミ」シナリオが進む。
現状、デフレ的な停滞が懸念される中で、ダリオ氏のメイン・シナリオは依然、後者のインフレ的停滞であるようだ。

この選択に直面した時、中央銀行には、戦時中に行ったように金利を低位に保つために莫大なお金を刷って国債を買う以外の選択肢がない。
だから、みんな中央銀行がそれをやるかどうか注視している。
これは私が以前話してきた大きなパラダイム・シフトだ。

日本人は幸せだ。
私たちは日銀を注視する必要さえない。
日本はとうの昔にパラダイム・シフトを終えている。
すでに関心は「現金はゴミ」になるのか、なるならいつかに移っている。


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