リーマン危機でも月間下落は10%超だった:カイル・バス

ヘイマン・キャピタルのカイル・バス氏が、2020年半ばまでに米経済が景気後退入りすると予想した。
バス氏はサブプライム/リーマン危機の到来を予想し的中させたことで有名。

「(財政刺激策の)変化額を見ないといけない。
昨年からの変化額はプラス1,500億ドル、今年から来年の変化額はマイナス2,500億ドルだ。
米経済は2019年後半に弱まり、2020年半ばまでに景気後退に入る可能性が高い。」


バス氏がBloombergで、そう遠くない景気後退を予想した。
前例のない完全雇用下での大規模財政刺激策が峠を越えることへの危機感を述べている。
米国株市場は景気後退より先行して浜町SCI調べでは過去4回の平均は8.5か月の先行)下落するのが通常だから、景気後退入りが来年半ばならそろそろ身構えるべき時期となる。

バス氏は政治状況を読んだ上で、米経済が「マイルドな景気後退」に入ると予想する。

「議会での民主党と共和党の対立を考えれば、民主党は大統領選挙の年に向けてトランプ大統領に刺激策を講じることを許さないだろう。
民主党は舞台裏で大統領が経済を人質にしていると言っており、大統領に人質を撃たせようとするだろう。」

今年に入って市場心理に改善が見られるものの、バス氏の弱気スタンスは変わらない。
バス氏によれば、みんな12月の株価下落の深刻さを理解できていないという。
昨年12月の16%下落が12月としては米史上最悪だった点を指摘し、リーマン危機を回想した。

「リーマン危機の下落の時、すべての米銀は破産寸前となり、AIGの経営が心配された時でも、その月の下落幅は10%あまりだった。
昨年12月には16%下がったんだ。」


米経済が永遠に景気拡大を続けることはありえない。
問題は景気後退がやってきた時に何ができるかだ。

「私が心配するのは・・・過去3回の米景気後退では500 bpの利下げがなされている。
今の利下げ余地は225-250 bpしかない。
・・・
(金融政策)正常化は今ではなくもっと昔にやるべきだったんだ。
利上げサイクルは最終段階にあり、FRBは動けなくなっている。
だから、ほんの小さな景気後退がやってきても、矢筒に矢は残っていない。」

財政は悪化し、追加緩和の余地も十分ない。
金融政策に関するタカ派であるバス氏は、米国でもマイナス金利を検討する動きがあることを警戒する。
サンフランシスコ連銀がマイナス金利政策の有効性を示唆する論文を公表したためだ。

「日欧のマイナス金利から学ぶべきだ。
日欧は銀行セクターを破壊し、少しも経済を救わなかった。
米国はマイナス金利を模索すべきでない。」

バス氏は景気後退入りを予想する2020年、米金利は今より低下していると予想する。
仮にバス氏の予想どおり景気後退がやってくるとすれば、そこから速やかにFF金利は引き下げられゼロに向かう可能性が高い。
これほどの金利低下は市場にはまだ織り込まれていない。
現実となれば、ドル相場において大きなドル安要因となるだろう。
相手通貨、たとえば円の側で同程度の金利低下が起こらない限り(それは起こりえないだろう)、ドル円相場は大きく円高ドル安に動く可能性があることになる。
(残念だが、かつて円暴落を予想したバス氏がどう考えているかは定かでない。)

バス氏は米国株市場についても短くコメントしている。

「米史上は米中交渉の勝利をある程度祝うだろうが、短期間で終わるだろう。
年末の米国市場は下げているだろう。」


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