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リンゴが欲しければバークシャー株主に:ウォーレン・バフェット

ウォーレン・バフェット氏が年次の株主向け書簡の中で、2020年、バークシャー・ハザウェイが過去最高となる計247億ドル(約2.6兆円)の自社株買いを行ったことを明らかにした。


この莫大な額の自社株買いにより、既存株主の持分が5.2%増えたと書かれている。
希薄化と逆の現象が起こっているわけだ。

バフェット氏は、チャーリー・マンガー副会長と長く申し合わせている自社株買いの基準を紹介している。

その自社株買いが継続的な株主の1株あたり根源的価値を高める
かつ
遭遇するあらゆる機会または問題に応じるのに十分な資金をバークシャーに残す

つまり、投資のチャンスや会社の危機に適切に対応できるだけの資金を残しつつ、「根源的価値」より安く買える場合のみ自社株買いを行うという趣旨だ。
この点でバフェット氏は米企業を批判する。

私たちは、バークシャーがどんな株価でも単純に自社株買いを行うべきとは考えていない。
これを強調するのは、米企業のCEOたちが株価が下がった時よりも上がった時に会社の資金を自社株買いに充てるという困った実績を持っているためだ。
私たちのアプローチはそれと真逆だ。

確かに、バフェット氏のアプローチの方が正しく、それはファイナンスの教科書どおりのやり方でもある。
同氏が指摘するような他社の自社株買いは理論的に疑問符がつく。
しかし、バフェット氏の自社株買いにも他社の自社株買いにも実はもう1つの物語が存在することを忘れてはいけない。
それは、「根源的価値」ないしは経済的合理性を満たす投資・株価によって事業・株式の取得がしにくい市場環境だ。

事業投資や株価が経済合理性よりコスト高になってしまった時、経営者や投資家はどうすればよいのか。
バフェット氏の答は、割高な買収・投資を行わず、自社株買いを行うという選択だった。
米企業のCEOも、同じことを言いたいかもしれない。
仮に自社株買いも割高だったからといって、自社株買いを行わず、税務上不利な配当支払いをしたり、使わない現金を手元に持ち続けるべきなのか。
仮に自社株が割高だとしても、自社というインサイダーによる自社株の取得はリスクがそれなりに低い。
株高で自社株買いが多いことの主因がそういう見識にあるのかはわからないが、一寸の虫にも五分の魂なのだ。

バフェット氏は、自社株買いの好事例としてApple株への投資を挙げている。
Appleが自社株買いをし、バークシャーが自社株買いをした結果、バークシャー株主が間接的に保有するAppleの資産・将来利益が2018年7月と比べて10%も増えたとアピールする。

自社株買いの算数はゆっくりじわじわ効いてくるが、長い目で見ると力強い。
このプロセスは投資家に、とびきりの企業の一部の保有を拡大し続ける簡単な方法を提供する。
官能的な女優メイ・ウェストが言っていた:
『いいことがありすぎるのは・・・素晴らしいこと。』


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