ブラックストーンのジョー・ザイドル氏が、投資分散に役立つプライベート・クレジット投資を紹介している。
同投資の是非はともかく、前段の部分が万人にとって現状認識の役に立つ。
この1年半チャンスを見つけ出すのは至難の業だった。
ザイドル氏が顧客向け書簡で近年の市場を振り返った。
同氏は、逆風が吹いた要因をいくつも列挙している。
- 高インフレによる急速な利上げ。
- 量的緩和(QE)から量的引き締めへの転換。
- 不確実性により10年のタームプレミアムがプラスに。
- 10年債利回りが近年で最高水準に。
- 株式と債券が順相関となり伝統的な60:40ポートフォリオでは分散が不十分に。
ザイドル氏は過去の低金利時代の株式リターンについて1つのファクトを紹介する。
「QEの時代、市場の倍率は利益成長と一緒になって歴史的なリターンを生み出した。
S&P 500のPERが13倍だった2009年3月から23倍でピークをつけた2020年8月まで、市場のパッシブ投資家は年16%のリターンを上げた。
2009年12月から2020年12月まででトータルリターンの源泉を分析すると、指数の平均トータルリターンの44%が倍率の拡大による。」
超低金利の時代、悪い言葉で言えば、能天気なほど、何も考えずにリスクテイクするほど、リターンが挙がった。
しかし、金利のレジームは変化しつつあるように見える。
「低リターン環境では、金利とボラティリティの上昇のために、投資家は効率的にリスクを管理しつつ価値を加える試練を受ける。
単純に保有するだけでは、もはや市場は儲けさせてくれない。
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金利もボラティリティも高かった1991年から2008年の平均年間トータルリターンでは、14%のみが倍率拡大によるものだった。」
これまで与えられてきた倍率拡大という余禄が大幅に減ってしまうと予想しているわけだ。
ザイドル氏は、低リターン時代にリターン向上とリスク管理に資する銘柄選びを奨めている。
高金利環境では、リターンを生み出すのは利益成長になる。
投資や資産クラスにおいて、将来の倍率拡大の見通しの不確実性に勝る要因は、相対的に強いバランスシート、利益の予見性、キャッシュフロー成長になるだろう。
このような質の要因は、リターンが細る環境に存するリスクの一部を打ち消してくれるはずだ。