リスク資産が上がりやすいニュー・ノーマルの時代:白井さゆり教授

FRBのバランスシート政策案

白井教授は、FRBで検討されているとされる案を1つ紹介している。
それは、今年末の総資産の見込み3.5兆ドルを3-4年維持するというものだ。


「今後3-4年バランスシートを3.5兆ドルに維持したまま、発行銀行券が増える分、当座預金を減らしていく。
(当座預金の)数字は定かではないが、1つ出ている数字は(3-4年後)0.8兆ドルぐらい。
1.2兆ドルから0.8兆ドルに数年かけて徐々に減らしていくというのが1案だ。」

ここまで当座預金を減らしたら、その水準を維持する。
一方で発行銀行券は経済成長とともに増えるから、FRBの総資産もその分増える。
負債側が拡大するから、同額だけ資産も増えていく。
つまり、バランスシートの再拡大だ。
白井教授は、FRBはMBSを減らし、国債保有を増やしていくはずと話した。

なるほど、経済・市場に悪影響を与えたくないという趣旨は理解できるが、金融政策の正常化までは遠い道のりであることがわかる。
上のグラフからわかるように、米国が量的緩和を始めるまで、FRBの発行銀行券(赤)と総資産(緑)はほぼ釣り合っており、これらと比べると当座預金は無視できる水準だった。
今は当座預金残高が1.6兆ドルから1.2兆ドル、0.8兆ドルと減らすことを議論している。
しかし、2008年7月の同残高は70憶ドルもなかったのだ。
この大きく膨らんだバランスシートは、常にFRBに金利変動リスク等を負わせることになる。


バーナンキの楽観

FRBバランスシートをどこまで減らすべきかについては、2017年1月にベン・バーナンキ元FRB議長が議論している。

「ある意味、米経済がFRBの4.5兆ドルのバランスシートに『見合うように成長する』ことで、今後数年で急速に縮小する必要を少なくすると言えるだろう。」

経済成長とともに通貨需要が高まるため、FRBバランスシートにも相応の規模が必要となる。
つまり、経済が成長すれば、バランスシート縮小はそれほど必要にはならないという主張だった。
そのうちの当座預金については、量的緩和や付利など金融政策の手段として必要とされており、大きく減らすべきでないとの見解だった。
もっともな議論ではあるが、拡大したバランスシートのリスクについては何も答えていない。

バランスシート再拡大が世界の金融を不安定化

白井教授は、5-6年後から再びFRBのバランスシートが拡大するようなら、世界的に緩和的金融環境が続くことになると心配する。
これが世界の金融安定のリスク要因になると話している。

FRBがすべてを国債で持つようになれば、大きな需要となり、米10年債利回りを押し下げる要因になる。
・・・
日本銀行は増やし続けている。
ECBも減らすのは相当に難しい。
14兆ドル以上の資産を中央銀行が持ち続ける。
国債価格の高騰、長期金利の下押し圧力、リスク資産(株など)がかなり上がりやすいといった歪みが常態化するニュー・ノーマルの時代が来ているようだ。


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