リスク資産が上がりやすいニュー・ノーマルの時代:白井さゆり教授

元日銀審議委員 白井さゆり慶應義塾大学教授が、FRBのバランスシート正常化と世界の金融市場の方向性について解説した。
世界の金融市場は長く緩和的な環境に置かれ、金融不安定を起こしやすくなると予想されるという。


FRBが見ているのは当座預金の適正水準だが、これが全く見当がつかない。

白井教授が7日のテレビ東京の番組でFRBが考えていることを代弁した。
FRBのバランスシート縮小が市場に恐怖感を与えて以来、多くの人がその総額に注目するようになった。
縮小のスピードが速すぎて、市場に悪影響が及ばないかという心配だ。

「(FRBは)景気がよくなったため2017年10月から再投資の額を少しずつ減らしていき、自然体の形で資産を縮小してきた。
今、減り方が大きくなっている。
結果、FRBが保有する金融資産が年初の4兆ドルから年末には3.5兆ドルにまで減ることになり、これが大きすぎるとの見方がある。」

しかし、白井教授は、バランスシートの総額だけでなく、銀行がFRBに預けている当座預金(準備預金)の残高にも目を向けるべきだという。

「FRBの保有資産はピークから0.5兆ドル減っている。
銀行がFRBに預けている当座預金が予想以上に減っている。
ピークから1兆ドル以上も減っており、これをFRBは想定していなかった。」


現金が増え当座預金が減る

FRBバランスシートの負債側に注目すると、そのほとんどはマネタリー・ベースである。
つまり、当座預金と発行銀行券だ。
この総額が減るだけでなく、発行銀行券残高の増加によって、当座預金残高が減少しているのだ。
白井教授によれば、年初1.6兆ドルあった当座預金は年末には1.2兆ドルまで減る見込みだという。
(米国であろうが外国であろうが)ドル現金を使う経済が拡大すれば、米ドルの貨幣需要は増え、発行銀行券残高も大きくなっていく。
長く続く低金利もまた現金を多くする要因だ。
これが当座預金の減り方を急にし、経済に影響を及ぼしているかもしれない。

FRB:当座預金(青)、発行銀行券(赤)、総資産(緑)
FRB:当座預金(青)、発行銀行券(赤)、総資産(緑)

(次ページ: FRBバランスシートは5-6年後に再拡大へ)


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