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ラッファー曲線は影響を与え続ける:グッゲンハイム

Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏が、アーサー・ラッファー氏の自由勲章受章についてコメントしている。
ラッファー氏はレーガン政権の諮問会議委員を務めたほか、前回の大統領選ではトランプ陣営のアドバイザーを務めている。


「わが友 – サプライサイド経済学の父、フリードマンやケインズと並んで20世紀で最も影響力のあった経済学者の1人 – に自由勲章が贈られることになったことにお祝いを申し上げたい。
ラッファー曲線は今後も世界中の政策策定者に影響を与え続けるだろう。」

マイナード氏が3日ツイートしている。
ラッファー曲線とは税率を横軸、税収を縦軸にしたグラフで示される曲線のこと。
税収には極大値があり、その税率を越えた場合には税率引き上げで税収が減ってしまう。
この場合、減税によって税収が増えるというメッセージにつながる。
減税がなされる時、あるいは増税を取りやめる時の理由として使われる。
レーガン政権以来の共和党政権による減税がこの理屈を用いてきた。
米保守派に好まれる議論だ。

ラッファー曲線の概念自体は極めて理の適ったことだし、おそらく現実に税収の極大値を超える税率となっている税金は存在するのだろう。
しかし、だからといって盲目的に減税をすればいいわけでないのも明らかだ。
現在の税率が税収の極大値の手前にあったとしたら、減税によって税収は減ってしまう。
国民の税負担が減ることは悪いことではないが、それが税収減に見合うものかを考えるべきだ。
安易な減税が格差を生みかねないことは想像に難くない。


米国は先進国の中では小さな政府の筆頭格だ。
その米国が大幅な減税をするのが正しい方向性なのか、精緻な検討をする前の第一印象としてそう感じるのも当然のことだ。
さらに、仮に減税で税収が減らないとしても、格差拡大など他の問題が起こるかもしれないことを考えると、本当に大幅減税が解なのか。
減税はほどほどに再分配や社会資本を強化すべきという考え方も当然出てくる。
だから、多くのプログレッシブ・リベラルが共和党の減税を批判する。
ローレンス・サマーズ氏は、ラッファー曲線の考え方自体は正しいとしながら、その実施が適切になされなかったと批判している。

こんな構図だから、米国における保守派とプログレッシブ・リベラルの対立、サプライサイド経済学とニュー・ケインジアンの対立はわかりやすい。
日本は欧州に比べれば小さな政府、米国に比べれば大きな政府になっている。
だから、多くの日本人からすると、米国はもう少し大きな政府になってもいいのでは、との印象を持つことになる。
結果、プログレッシブ・リベラルに共感を覚えたりする。
必ずしもニュー・ケインジアンに賛成できない人でも、サプライサイド経済学よりは共感できると考えるのかもしれない。

スコット・マイナード氏と言えば、かつての債券王ビル・グロス氏が20年前の環境なら債券王になっていたと称えた人物。
至極まともな尊敬すべき投資家・エコノミストだ。
その人物がサプライサイド経済学を認知し、ラッファー曲線が世界の経済政策に影響を与え続けると予想している。
増税のためにわざわざラッファー曲線を持ち出す人はいないだろうから、減税が優勢になるのだろうか。
決まった未来ではないが、そうした変化は各国財政の悪化と格差拡大を連想させる。
そんなことが頭をよぎるツイートだ。


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