ラグラム・ラジャン

 

ラグラム・ラジャン:中央銀行がやっていいこと悪いこと

前RBI総裁 ラグラム・ラジャン シカゴ大学教授が、主要中央銀行の金融政策について厳しい批判を浴びせている。
ラジャン教授はRBI総裁時代、世界のタカ派エコノミストらから世界最高の中央銀行総裁と称えられていた。


「近年、各国中央銀行は(量的緩和に続いて)マイナス金利、革新の最前線にあり続ける日銀はイールド・カーブ・コントロールをも導入した。」

ラジャン教授はProject Syndicateへの寄稿で、日銀を「革新の最前線」と表現した。
もちろん賞賛しているのでないのは明らかだ。

「しかし今では、ほとんどの主要中央銀行が金融政策正常化を模索しているように見える。
私たちは、なぜこれら通常でない手段がとられたのか、果たして機能したのか否かを問わねばならない。」

さまさまな政策が逐次投入されたワケ

ラジャン教授はこう宣戦布告すると、非伝統的金融政策についてさまざまな角度から緻密に疑問を呈示していく。
教授は危機対応としての政策を批判しているのではない。
危機対応の期間の後も長く続いてきた、利回り・価格に働きかける政策、市場の期待に働きかける政策の有効性を疑問視しているのである。
教授は、各国中央銀行が「物価目標という使命のとりこになっている」と指摘する。


日銀は15年近くもインフレを押し上げようとしてきた。
この期間、世界中の多くの中央銀行家は日銀高官にアドバイスしたがった。
『簡単なことさ。こうやればいいんだよ。』
しかし、同じ中央銀行家たちが自ら低インフレに直面する段になって、問題はそう単純でないと気づいたのである。

ラジャン教授は、低インフレの原因となっている低インフレ期待を取り除く方法が確立していないと指摘する。
仮に「核爆弾」=ヘリコプター・マネーを投下したとしても、「中央銀行のメカニズム操縦がおかしい」と思われれば、インフレ期待醸成に失敗するだろうという。
おかしな政策運営に危機感を持てば、人々は支出を増やすのではなく減らすだろうからだ。
有効な手段が尽きていく中、物価目標という使命のとりこになっている中央銀行は次々と新たな手段を投入し強弁を続けるしかない。
有効な手段が尽きたと認めてしまえばインフレ期待が剥落するのではないかと恐れるからだ。

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