ユニコーンの売り時到来と長期金利低下の意味:マーク・ファーバー

スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏が、リフト上場について市場の過熱を示す一例とコメントしている。
投資家は株式市場と債券市場が真逆の見方をしている点に注目すべきだという。


「過去12か月ほどにわたる株式と債券の不一致に関して、新規発行が少ないことが米国株市場が過熱からはほど遠い兆候だと指摘するアナリストがいる。
しかし、この議論に応えよう。
公開株の新規発行でなく、10億ドル超の値がついている未公開のスタートアップ企業-いわゆるユニコーン-が急速に激増している。」

ファーバー氏が月例コメンタリーで書いている。
米国株の公開市場に過熱感が見られないとしても、未公開市場は熱していると言いたいのだ。
その典型が29日に上場した米配車2位のリフト。
上場初日終値による時価総額は約220億ドル(約2.4兆円)に上った。

ファーバー氏は、昨年リフトが911百万ドルの赤字を計上していること、IPO前の12か月のスタートアップの損失額として史上最高であることを指摘している。

「公開前のテクノロジー企業の平均の設立後年数は、1999年の平均4年に対して、現在は11年だ。
さらに、損失を計上している企業数が増えているようだ。」

平均年数が伸びていることは、ドットコム・バブルの1999年と比べて安易な上場が少なくなったことを示しているとも読める。
しかし、設立後はるかに長い期間を経ても利益が整わない、黒字化しないのだとすれば、状況が改善したともいえないかもしれない。

未公開企業が最終的に取引所に上場する時、インサイダー(企業の投資家)が、タイミングとバリュエーションが絶好と考えているのは明白だ。

企業価値にかかわる情報の非対称性: インサイダーは外部投資家に比べて企業の価値についてはるかに多くの良質な情報を得ることができる。
インサイダーは、抜け目なくやれば、企業の価値について外部投資家よりはるかに確度の高い予想が可能だ。
IPOとは、そのインサイダーが《売った方がいい、今が売り時だ》と考えた時かもしれないのだ。
IPO後、中長期で見て株価がアンダーパフォームの傾向を示すことは米国ほかの市場で知られるアノマリーだ。


ファーバー氏は昨年11月から上昇を続ける長期債(利回りは低下)に言及する。

S&P 500指数(青)と米10年債利回り(赤)
S&P 500指数と米10年債利回り

「投資家は第1四半期の強い株式リターン(S&P 500指数が13%上昇)を享受し議論している。
しかし、2018年11月の底から長期米国債が約13%上昇したことをほとんど語らない。
3月22日の米国債の上抜けは何を意味するのか?
景気後退が間近ということか、FRB利下げということか?」

この2つのいずれかが正解ならば、いずれであってもあまりいいニュースとは言えまい。
景気後退が来るのはもちろん、FRBが利下げするのもよくないことに対応したものである可能性が高い。

ファーバー氏は、長期債が買われて長期金利が低下するのは景気の弱さの表れと考えている。
同氏は終末博士の異名通り弱気の見方を持っており、債券市場が正解と考えている。

「米国債が『景気後退がやってくる』と叫んでいる時に、株式・ハイイールド債(ジャンク債または質の低い債券)には『すべてはすばらしい』と言わせているのだ。
何かがおかしく、間違いなく一部あるいはおそらくすべての投資家は市場の逆行時に傷を負うだろう。」

2年前なら、こうしたファーバー氏の予想に対しては反論・嘲りがつきものだった。
しかし、今の米市場には終末博士のような弱気予想でも素直に耳を傾ける様子が見える。
経済成長鈍化や利下げをはなからゴルディロックスと決めつけ、市場にプラスと言い切れるような状況ではないのだ。

ファーバー氏は、市場サイクルのこうした局面で投資家が陥りやすい自己欺瞞を警告するため、投資家レオン・レビーの言葉を紹介している。

『ほとんどの人にとって最も危険な自己欺瞞とは、バリューへの抜け目ない理解に基づいて買った株については、市場下落においても影響を受けないという考えだ。』


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