投資

モハメド・エラリアン氏の2020年の敗北宣言
2020年12月21日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、2020年の相場、自身の投資を振り返り、ずいぶんとレベルの高い敗北宣言を述べている。


流動性は大きな影響を及ぼす。
誰かが地下室でお金を刷って使おうとしていたら、注目すべきだ。

エラリアン氏がBloombergで、2020年に学んだことを3つ挙げた。
流動性の影響力のほか、不十分なセーフティ・ネット、差し始めた希望の光を挙げている。

振り返ると、ファンダメンタルズにより少なく、テクニカルにより多く注意を払うべきだった。
私は早くエグジットしすぎた。

エラリアン氏は、率直に今年の自分の予想が十分に当たらなかったことを懺悔した。
別に、同氏が予想者として劣っているわけではない。
実際、コロナ・ショックがまだ市場で顕在化していない頃、エラリアン氏は、下げても押し目買いをすべきでないと極めて有用な予想を述べている。
3月下旬に市場が上昇に転じた時は、投資対象を厳選した上で再び市場に参加している。
ここまではドンピシャだった。
しかし、6月になると、エラリアン氏は自ら読み違いを認めたのだ。
経済が再始動する中、ステイ・ホーム銘柄からエグジットし、大きな上昇に乗り損ねたという。

エラリアン氏は、ポートフォリオの構築には3つの層が必要だと説く。

  • 構造的レイヤー: 構造的変化を見据えた投資機会を狙う。
  • 趨勢的レイヤー: 長期トレンドによる投資機会を狙う。
  • 戦術的レイヤー: 短期的なチャンスを狙う。

エラリアン氏は、今年については3つの中で戦術的レイヤーにももっと注目すべきだったと認めている。

「これは、他の2つを犠牲にしろという話ではない。
その投資家のリスク許容度や市場の上下を吸収する能力に応じて、これら3つをどう位置付けるかなんだ。」

3つのレイヤーを意識することが重要で、重点をどれに置くかは投資家固有の性質によるものということなのだろう。

エラリアン氏は、投資にあたって常に自問する問いがあるのだという。

『もしも失敗に終わる場合、この失敗は耐えられる失敗だろうか?』
これこそすべての投資家が自問すべき問いだ。

投資において最初から成功・失敗が決まっている判断は多くない(あるいはトリビアル)。
もしも失敗した場合、自分は、あるいは自分のモラルやプライドはその失敗に耐えられるだろうか。
誇り高き投資家はそんなことを考えるのかもしれない。

「あまりにも純粋にファンダメンタルズから判断してしまった、というのには耐えられる。
耐えられないのは、これまでうまくいってきたプロセスを無視し、単純に流動性サーフィンの要素に乗っかり、そして力学を誤解していた、という失敗だ。・・・
結局はすべての投資家は自分のプロセスに満足しなければいけない。」

ハーバード大学寄付基金や世界最大の債券ファンドPIMCOでCEOを務めた投資家が、リターンだけでは割り切れないこだわりを語っている。

投資には絶対的な正解はない。
いくつも正解があるのが投資の楽しさでもある。
同じように、失敗にもいくつも異なる種類のものがあるのだろう。

エラリアン氏の言によれば、今年のような環境が再来すればエラリアン氏は再び似たような「失敗」を繰り返すようにも思える。
もちろん、簡単に同じことを繰り返すことはあるまいが、やはり失敗の確率は高いのではないか。

エラリアン氏はそうした可能性さえ自覚しているようだ。

他人のお金を投資していなくて本当によかった。
こうした環境ではやりたくないんだ。

戦術的レイヤーばかりが効いてくる相場をエラリアン氏は得意(あるいはスタイル)とはしていないのだろう。
(PIMCOではビル・グロス氏がこちらを得意としていた。)
それと同時に、いつか自分の読みが当たる可能性も考えると、安穏に流動性相場に乗り続けるのも心地よくないのではないか。


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