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メタバース、NFT、暗号資産は放っておけ:ビル・グロス
2022年1月8日

ビル・グロス氏は、わずかな金利上昇でも銘柄によっては大きな価格下落が起こりうるとして、保守的な銘柄選択が報われる時代が来たと書いている。


最も目立つのは、6%超のインフレ、今後5年について3%以上の消費者(インフレ)期待に直面している今、米10年債利回りが1.50%に留まっている点だ。
過去10年債利回りはCPI(年率)の2%上の水準だった。

グロス氏がInvestment Outlookで、低い債券利回りにあきれている。
仮に(長期で)3%インフレ期待、1.5%長期金利としても、実質の長期金利はマイナス1.5%。
投資して償還期限まで保有すれば確実に損をする計算だ。
グロス氏は、中央銀行以外に買いたがる投資家は多くないはずという。

この構図が意味するのは、米国債市場の《市場金利》は市場ではなくFRBが決めているということだろう。
そして、今後この官製の《市場金利》が利上げや量的引き締めにより上昇するかもしれない。

グロス氏は株式市場について言及する。

「どうして投資家は、過去大部分(私の推計では30%)が長年どんどん低下していく利回りにより押し上げられた株式市場に『興奮』し続けるべきなのか?」

いつものようにグロス氏は現状の手の内をいくつか開示している。
(本サイトは投資推奨を意図しておらず、個別銘柄については極力割愛しているが、原文には多く具体的銘柄が挙がっている。)

  • 高配当のディフェンシブ銘柄と低利借入のアービトラージ
  • 『90%確実』な買収にともなうアービトラージ
  • 天然ガスのパートナーシップ
  • ミーム株ショート

グロス氏は高PER株、利益を計上していない銘柄に注意するよう促している。
金利上昇がこうした銘柄に強く当たるからだ。

金利上昇はなぜ起こるか。
ざっくりいって、潜在成長率が上向くか、中央銀行による抑制が減らされるかだろう。
前者ならば企業の利益も向上するが、後者ならばそれが起こらない。
今回、前者についてはすでに織り込みが進んでいるだろう。
後者ならば、利益押し上げ要因がない中で、割引率だけが切り上げる。

グロス氏はアマゾン株についてコメントする:

アマゾンはすばらしいかもしれないが、予想PERが80倍だ。
将来の利益が現状の10年債利回り1.5%でなく2%に基づいて割り引かれるようになれば、かなり早い成長が要求されるようになる。

もちろんグロス氏は、自身の戦略・予想が確実に成就するとは思っていない。
株や金利が「科学ではなく、多くの場合技でもない」と言い切る。
それは、自身についても言えるし、多くの投資家についても言えると話を切り替える。

「投資家は、2022年以降2桁の市場上昇により老後への目標が保証されると思い込んできた。
10年債利回りが2%以上になれば、また、地球温暖化・地政学的対立・国内の保守/リベラルの州の混乱・財政引き締めにともなう金融以外のリスクがもっと顕著になれば、目標は達成できない。」

グロス氏は大きな、あるいは小さな転換点を予想しているようだ。
これは同氏のファンには2012年頃を思い起こさせる。
当時、危機はすでに去り、グロス氏は、ついにFRBが金融政策を転換し、債券の超長期サイクルが反転しうると予想した。
しかし、FRBは恥ずかしげもなくQE3を実施し、グロス氏予想は裏目となった。
同氏が《債券王》の異名を失うきっかけとなった時期だった。
そのグロス氏が、復権を狙うかのように、やや控えめな金利上昇を想定しシナリオを語っている。
ただし、上昇幅は小さくても、その影響は小さくないとの見方のようだ。

メタバース、NFT、ほとんどの暗号資産(私はビットコインが好きだ)からは距離を置き、ミレニアル世代に任せておこう。
・・・2022年までにポートフォリオを持ち上げてくれたものでなく、保守的な(債券でない)投資を選択する時代になったんだ。

なお、グロス氏は近々新著を上市するとのこと。
タイトルは『I’m Still Standing』。
俺はまだ終わっちゃいない、といったところか。


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