マーク・ファーバー

マーク・ファーバー:資産価格上昇の弊害

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スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏がHard Asset Allianceのインタビューで興味深い昔話をしている。
資産と通貨の購買力のバランスやビットコインの限界についての話は大きな社会の変化を捉えるものとして楽しめる。


「昔は、給料は資産価格と比べて比較的高かった。
父はエンジニアだったが、家にはレンブラントの絵があった。
父が自分で稼いで買ったものだ。
その他いくつか有名な画家の絵があった。」

ファーバー氏は戦後間もない子供の頃の記憶を語った。
日頃、私たちからすると少々妙な世界観を感じさせることもあるファーバー氏だが、その背景を垣間見るような発言だ。
この老人は、現在からでは想像もつかないような激動の時代を生きてきた。
私たちが慣れきった風景とはまったく異なる時代をいくつも経験しているのだろう。

資産価格を押し上げたもの

今では議論する必要もなく、エンジニアが(自分の稼ぎで)レンブラントを買うことなどできない。
でも、その時代は可能だったんだ。
さらに、すてきな家などなど。
資産価格がほどほどに抑えられていた。
その一因は高金利にあった。


商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。 安易に金融緩和に傾きがちな中央銀行を非難し続けているのには、こうした認識があるに違いない。
資産価格を押し上げる政策と言えば、資産効果を狙ったものや持ち家政策が有名だ。
資産効果によって経済を押し上げようとすれば、需要を先食いすることはできるかもしれない。
しかし、高くなった資産は、庶民には手の届かないものとなってしまう。
持ち家政策は各国の好むポピュリズム的政策の定番だが、これが持ち家を持てないほどの住宅価格上昇に手を貸したことは間違いない。

「資産と比べて、通貨は大幅に購買力を失った。」

ファーバー氏は断じる。
ここで「資産」と言っているのはそこから得られる不労所得を意識しているのだろうし、「通貨」と言っているのは労働への対価を意識しているのだろう。
つまり、世界が労働より資本へ優先的に分配する社会へと変化したと嘆いているのだ。

金利を引き下げて、資本への分配が増すとは皮肉なことだ。
ここには下げ続けるという前提が存在する。
下げ尽くしてしまえば、もはや先食いはできなくなり、資本への分配は減少・消失・マイナスに逆転する。
その先には、資産と通貨の購買力の巻き戻しがあるのだろうか。

(次ページ: 金とビットコイン)

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