マーク・ファーバー

 

マーク・ファーバー:ミッシング・リンクが埋まった

スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏が、月例のコメンタリーを公表した。
白人至上主義ととれる表現が非難を浴び表舞台から姿を消しただけに執筆活動を控えると予想されたが、老人はライフ・ワークを中断するつもりはないようだ。


金融機関との取引の中で、経済・金融トレンドについて完全に異なる見方をもつ多様な従業員を持つ資産運用会社が、シニア・スタッフが均質な見方・同一の投資スタイルを持つ資産運用会社より良好な運用成績を上げるのを見てきた。

ファーバー氏が書いている。
友人が子供の教育について論じたコラムで、幼い頃から意見の相違を経験させるべきと論じていたことについて、投資業界にも当てはまると述べたものだ。
あるいは、多様性を尊重する姿勢を強調することで自身の人種差別的筆禍についての言い訳をしたともとれるが、これは酷すぎるだろうか。
メディア・講演会から干され、多くの企業で社外取締役を解任されたことを考えれば、責められるべき筆禍ではあったが制裁も相応に受けている。
(少なくともどこかの大統領よりははるかに罪は軽く、はるかに重い罰を受けている。)
相応の時間をかけて復活されることを見守ろう。

ファーバー氏は多様性というテーマをセクター別パフォーマンスという視点に敷延している。
近時のテクノロジー・セクターの下落、他のセクターや資産クラスの上昇である。

「株式市場が上昇を続けるという可能性も大いにあるが、2017年のモメンタム株が下落し株式市場全体よりアンダーパフォームする可能性も大いにある。
あるモメンタム・セクターの流行が終わると投機がまったく異なる資産クラスに移るという現象は珍しいことではない。」


S&P 500指数(青)、同金融指数(紫)、同IT指数(緑)
S&P 500指数(青)、同金融指数(紫)、同IT指数(緑)

この1年、米市場ではITセクターも金融セクターも市場全体を上回るパフォーマンスを上げている。
米大統領選が終わり市場にリフレ期待が広まると、まず先行したのが金融株だった。
金利上昇やイールド・カーブのスティープ化が金融セクターでの収益力改善を連想させたのだ。
ところが、トランプ政権の混乱で政治が停滞すると、主役はITセクターに戻る。
その後は小刻みにシーソー・ゲームを繰り返しながら上昇を続けている。
典型的な循環物色である。

循環物色こそ珍しいものではないが、2017年の場合、大きな特徴があるとファーバー氏は指摘する。
循環物色の対象が株式の枠を飛び越えて、新奇な資産クラスに及んだことである。
言うまでもなく仮想通貨だ。

ただし、FPの観察では、IT株価とビットコイン価格の間に明確な逆相関の要素を見られない。
むしろ順相関の要素が圧倒的だ。
もっとも、ビットコインの短期変動幅はあまりにも大きく、低ボラティリティの株価との比較はなじまない。

「仮想通貨の出現で、1981-2018年の巨大な資産バブルの最終局面での重要なミッシング・リンクがつながった:
大きな資産バブルの終焉に向けた大規模な市民参加だ。」

慎重派が頭を捻ってきた《熱狂なき価格高騰》。
資産価格は極めて高いのに、その背景に《根拠なき熱狂》が存在しない。
《資産価格は高くても、皆が熱狂ではなく心配しているから大丈夫》といった《根拠なき安全神話》さえ語られている。
ファーバー氏は冷静に、ビットコイン相場の中に最後のカギを見出しているのである。


 - 投資 , ,