マーク・ファーバー

 

マーク・ファーバーのぬるい弱気予想

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今年初めの記事は、旧年自らの筆禍で表舞台から姿を消した老人の月例書簡から。
ファーバー氏が反省しているかどうかは定かではないが、社会的制裁は十二分に受けており、月に一度ぐらいは消息を確かめておこう。


ファーバー氏の月例書簡はひとしきり中国の前向きな変化を論じ、自由な議論の大切さを説いている。
これが自己弁護なのかどうかはわからないが、投資についてはわずか3文しか触れていない。

資産市場は最高の2017年を享受した。
2018年も資産市場が2017年のように揃って上昇するかは疑わしい。
むしろ、資産価格のトレンドがマチマチになり、市場の牽引役が変わるとの予想が手痛い下方のボラティリティをもたらすことになるだろう。

終末博士と呼ばれるファーバー氏にしてはなんとも抑え気味の終末予想ではないか。
表舞台から姿を消す直前、ファーバー氏はビットコインを「大きな資産バブル」成就のためのミッシング・リンクと呼び、バブルの終焉を予想していた。
それと比べれば、ずいぶんと楽観に振れたものだ。
それほどに現在の市場の楽観は力強い。


少なくとも足元に景気後退の兆しはなく、少なくともあとしばらくは資産価格上昇が続いてもおかしくないセンチメントにある。
しかし、それは必ずしもリスクの不存在を意味するものではない。
リスク、しかも深刻なリスクは数多く存在する。
しかし、市場はそれをリスクととらえ投資に織り込む感度を失っている。

北朝鮮の地政学的リスクは近年類を見ないほど深刻なものだ。
トランプ大統領がシリアでやったことを考えれば、習首席・プーチン大統領と握手を交わした瞬間、北朝鮮に武力行使する可能性も否定できない。
世界最強の軍の最高司令官は仮想通貨なみのボラティリティを持った人物なのだ。
武力衝突となれば、韓国・中国・ロシア・日本にも被害が及ぶ。
被害の及び方しだいではリスク・オフの円高さえ危ういものになってくる。
ただ、こうした内容も確率も測れないリスクに対し、投資家は最適のポートフォリオを組み上げるノウハウを持っていない。

ファーバー氏は仏作家マルセル・パニョル氏の言葉を引いている。

「幸福になるのが難しい理由は、みんないつも過去は本当の過去よりよかったと思い、今は本当の今より悪いと思い、将来は本当の将来よりよくならないと思うためだ。」

将来を楽観しろともとれるこの言葉が終末博士から出るのがなんとも不気味だ。


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