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マネー創出に動かされる経済:レイ・ダリオ
2020年7月3日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、FRBの政策と米市場の状況について、ただ淡々と解説している。


今日では、経済・市場は中央銀行と(中銀と)中央政府の協調によって動かされている。
これが意味するのは、FRBによる金融資産・米国債の買入れが市場を動かしているということだ。
マネーに注目するなら、マネー創出が市場を動かしているということだ。

ダリオ氏がBloombergで、米市場の変容を指摘している。
FRBの資産買入れが価格・流動性に及ぼす影響が、市場のメカニズムを変化させたという。

ダリオ氏は、政策を話題にする時、個々の政策の善悪を議論しない。
たとえ心の中で悪い政策と思っていても、それを議論することはほぼない。
悪い政策でも他に選択肢がないような場合では、淡々とその政策を予想し、推奨さえする。
他に手段がないためだ。
その一方で、それが実現した場合のシナリオにもしっかり備えているのだ。

ダリオ氏は、金融システムにとって重要な経済主体が多岐に及ぶ現状を解説する。
2008年のリーマン危機時にシステムにとって重要なのは銀行であり、次にMMF、CPだった。
だから、それらを救済することが経済を救う助けになった。
ところが、今は重要な主体がはるかに広がっているのだという。

経済全体がシステミックに重要になっている。
彼らが・・・フォールンエンジェルを含む企業に貸出を行わなければ、私たちは経済の大きな部分を失うことになる。

米国は日本人からは想像しにくいほど直接金融が発達している。
日本なら短期の資金繰りは銀行に電話一本で用が済む。
米国ではそこでも直接金融だ。
企業はCPで資金調達し、主な買い手はMMFになる。

ダリオ氏は、今はそうした資金調達チャネルの幅がいっそう広がっていると主張している。
だから、FRBは以前より幅広い資産クラスを買入れなければならないのだという。
これは裏返せば、市中銀行だけでなく、幅広い経済主体が中央銀行との間で直接・間接に売買を行っていることを示す。
しかも、救済・支援・刺激という性格上、中央銀行の許容する売買条件は概して肝要だ。

「欧州の例や日米の程度こそ違えど似た状況では、中央銀行が貸出を行い金利を支払っている、あるいはゼロ金利で貸している。
さらに、元本返済も必要ないかもしれない。・・・
これが中央銀行に動かされる市場だ。」

ダリオ氏は、政策の善悪を議論することなく、淡々と現状を述べようとしている。
しかし、そこに問題意識がないわけではないだろう。
端々にそれは表れており、経済成長に最適な資源配分はその筆頭だ。

行動だけでなく、買入れる資産を所有したいという希望、売買時の所有の優先順位は、典型的な自由市場の配分とは異なる。
その結果、資本市場は、伝統的な方法で資源配分を行う自由市場ではなくなっている。


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