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マクロヘッジの2つの目的:ビル・アックマン
2023年8月28日

パーシング・スクエアのビル・アックマン氏が、ポートフォリオにおけるマクロヘッジについて書いている。


「2020年3月以来、ヘッジによる利益が私たちのパフォーマンスに大きく貢献している。」

アックマン氏がパーシング・スクエア・ホールディングスの中間報告書で、マクロヘッジが大きく儲かっていると明かしている。
2020年はクレジット下落に対するヘッジ。
これは既報のとおり、ヘッジといいながら、莫大なリターン(26億ドル)を上げた。
その後は金利上昇(米国債下落)に対するヘッジである。
短期金利のヘッジでは27億ドルを稼ぎ、現在は長期金利のヘッジを組み込んでいる。

アックマン氏はヘッジ戦略についていくつかポイントを挙げている。

「リスクの性質とヘッジ戦略の成功が起こると予想する期間の両方を当てないといけない。」

「非対称的な投資を用いてヘッジしており、そのコストは資本に対して通常低い、1桁のパーセンテージとしている。」

インフレも金利も高止まりまたは上昇する可能性があり、その場合に株式バリュエーションに悪影響が及ぶことに対してヘッジしているという。
具体的には30年債利回り上昇に対するヘッジを組み込んでいる。
この点については8月初旬にすでにツイートしていた。
理由の一つは、金利上昇が株式に与えるリスクの軽減。

「2つ目は、単独で高い確率の賭けとなりうるからだ。
まだ合理的確率で非対称なペイオフを与えてくれるマクロ投資は少ない。
これがその1つだ。
・・・
最良のヘッジとは、ヘッジが必要なくともとにかく投資したいと思うヘッジだ。
30年債はそれに該当し、しかも私たちはヘッジを必要と考えている。」

30年債利回りは4月初旬の3.6%から4.3%まで上昇していたが、アックマン氏はまだ上昇が続くと見ていた。
根拠となる目の子計算は

  • インフレ: 長期的に3%
  • 実質均衡短期金利: 0.5%
  • 期間プレミアムの過去平均: 2%

合計して5.5%となり、当時の4.3%にも上昇余地があるとの見方となった。
(その後30年債利回りは上昇するかに見えたが、再び月初なみの水準に戻っている。)
利回りが下がるより上がる可能性が高い、これが「非対称なペイオフ」である。
ヘッジだけでなく、分のいい投機を兼ねている、これがアックマン氏の好みのようだ。


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