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マイナス金利は市場経済を侵食する:モハメド・エラリアン
2019年11月17日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏は、トランプ大統領がツイートで求め続けるマイナス金利政策導入に異を唱えている。


過程だけでなく目的も良くないのだから、私たちはマイナス金利を回避しなければならない。

エラリアン氏が保守系メディアFOX Businessで、米国はマイナス金利政策を採用すべきでないと主張した。
同氏が「過程」と表現したのは、どのような場合にマイナス金利政策が検討されうるかのことだ。

「欧州を追ってマイナス金利を導入すれば、それは経済が壊れてしまうこと、景気後退入りすることを意味し、それは望むことではない。」

現状の米経済の状況では、さらなる大幅な利下げは必要ないとの考えによるものだろう。
経済が悪化した時のために今から金融緩和策の選択肢を検討することには意味があるように思われるが、大統領が求めているのはそういうタイミングの話ではないだろう。
また、日欧で追加緩和が行われた際、経済や市場の心理を冷やしてしまった局面があった。
そういう意味でも現時点で強力な追加緩和を行えば大きなリスクをともなうだろう。

エラリアン氏は、特に欧州での経験から、マイナス金利政策の効果自体を疑問視している。

目的も問題だ。
欧州は、マイナス金利が反生産的であることを学びつつある。
市場経済を侵食してしまう。

この番組でもトランプ大統領への賛美に終始するFOXのキャスターに対し、エラリアン氏はうまく立ち回っている。
PIMCOのCEOだけでなく数々の公職にもついてきた同氏は、問題のない範囲で大統領に賛意を示しつつ、結論ではダメ出しをしている。
もっともキャスターもマイナス金利にはかなり懐疑的らしい。
そもそも保守派の中には強力な金融緩和に慎重な人が多かった。

エラリアン氏は、日欧がマイナス金利によって低利調達・ドル高 自国通貨安の恩恵を受けていると指摘する。
それが米国に競争上の不利をもたらしているとし、権力への配慮も欠かさない。

「その心配は共有するが、解答はマイナス金利ではない。
正しい解答は、必要とされているものについて改善していくことだ。
純粋な成長を生み出すものに投資を続けなければいけない。
インフラ、人材の再戦力化・再訓練、さらなる財政改革だ。」

正論であり、つきなみな議論である。

エラリアン氏は現状、米国の経済・市場が相対的に良好であるとし、米市場へのエクスポージャーを急減させるべきでないと奨めている。

米市場は他の市場を大幅にアウトパフォームしてきた。
2010年末と今を比べると、新興国市場が10%上昇だったのに対し、S&P 500は200%上昇した。
みんな『米市場から引いた方がいい』と言うが、私は『まだだ』と言っている。

同じ債券投資家であるジェフリー・ガンドラック氏は、次の弱気相場では米市場が最も大きく下げると予想している。
一番上げた市場が一番下げるのが経験則なのだという。
しかし、そのガンドラック氏も、直近で景気後退自体が遠のいたと予想を修正している。

エラリアン氏は、市場がいつかはFRB頼みから脱却しなければいけないと説く。

「私たちは、FRBによる流動性の支援から卒業しなければいけない。
長く続いてきたように、十分で予見可能な流動性の下で売買が行われるという条件が長期的に必要とされるのは健全ではない。
ファンダメンタルズが重要であることに適応しなければいけない。」


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