ハワード・マークス
 

マイナス金利がもたらす12の変化:ハワード・マークス

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、世界に広まるマイナス金利・マイナス利回りについて考察している。


カルロス: 資金が着金したよ。月曜日までどうすればいい?
マークス: 銀行に置いておいて。
カルロス: 今日の金額より月曜日には減っちゃうけど、わかってる?
マークス: じゃあ、銀行に入れておくのはやめだ。
カルロス: でも、銀行に置いておかざるをえないだろ。
マークス: じゃあ、銀行に置いておいて。

マークス氏が最新の「メモ」で、初めてマイナス金利の洗礼を受けた時のことを紹介している。
スペインへの投資案件の払込期限は月曜日だった。
マークス氏はトラブルを嫌い、前週の水曜日に電信送金したという。

大金を現金で持つわけにはいかない。
しかし、銀行口座に入れておけば、マイナス金利を付される。
それでも、銀行に入れておくしかない。

なぜマイナス金利・マイナス利回りが発現したのか。
マークス氏は投資家側の理由について4つの可能性を挙げる。
・安全への逃避
・金利低下予想
・デフレ期待
・マイナス金利通貨の上昇への投機
こうした投資家側の事情に加え、政策なども勘案すると少なくとも12の理由が挙がるという。

これまで社会はプラス金利を前提として構成されてきた。
プラス金利を前提とする仕組み・損得勘定が根付いてきた。
マイナス金利となれば、それが変わらざるを得ない。


金融の世界では、ほとんどの行動が、将来も過去と似たものになるとの仮定に基づいている。
プラス金利と複利の利点は、最も基本的な礎の1つだ。
・・・
少なくとも、マイナス金利は不確実性の増大を意味する。
だから、私たちはよりオドオドしながら前に進まなければいけない。

何が起こるかわからない。
だから、用心しろと言っているのだ。

マークス氏は、米国の置かれた状況を考えれば、マイナス金利を予想させるものはないという。
そう言いつつも、可能性は除外できないとも書いている。

マークス氏は、マイナス金利下、あるいはその可能性が否定できない環境での投資について、耐久性のあるキャッシュフローを有する、信頼性のある投資対象が望ましいとしている。
ただし、投資にあたっては、もちろん割高なものをつかまないことが重要で、それが難しいともこぼしている。

さて、最後にマークス氏が指摘した、マイナス金利がもたらす12の変化を紹介しよう。

  • TINAトレードの深刻化
  • 支払いを遅くする必要性がなくなる
  • 受取りを早める必要性がなくなる
  • 引退世代などの生計を圧迫
  • 悲観的印象が経済刺激効果を打ち消す
  • 少額預金までマイナス金利となれば逆進性が増す
  • 変動金利の金融商品の機能が歪む
  • 年金等の財政悪化
  • 割引現在価値の計算がナンセンスに
  • 銀行経営に打撃
  • 社債がマイナス金利になればレバレッジが褒められる?
  • 金融モデルやアルゴリズムの一部が役に立たなくなる

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