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ウォール街 ポートフォリオのターンオーバーを高める:ビル・アックマン
2020年3月26日

パーシング・スクエアのビル・アックマン氏が、コロナ・ショックのためのヘッジの大成功と同ヘッジをクローズしたことを高々と宣言している。


ヘッジを購入して以来、米国と世界の株式・クレジット市場が劇的に下落した一方、ヘッジの価値は大きく増加した。

アックマン氏が25日付け投資家向け書簡で、運用ファンドのコロナ・ショック対策のためのヘッジの成功を報告した。
3月3日付け書簡で報告してあったとおり、同氏は価格下落に対するヘッジを購入していた。
同氏が買っていたヘッジとは「非対称なペイオフ特性、つまり、ヘッジによる損失リスクが限定的で、潜在的なアップサイドがリスクに晒している資本の数倍もあるもの」だったという。
具体的には、世界のクレジット(投資適格もハイイールドも)に対する信用保険だったという。
当時は信用スプレッドが歴史的タイトさで、それ以上の信用スプレッド縮小は考えにくかった。
つまり、この保険(ヘッジ)にはほとんどダウンサイドがなかった。

アックマン氏は、新型コロナウィルスの問題が重大であるとし、決して楽観していない。

ウィルス拡散を止め、大量の患者の緊急医療を扱うための地方・都市・州の医療システムの能力を維持するため、ほぼすべての州が結局は強力な、不要不急でない企業活動の閉鎖と自宅待機の規制を始めることになると信じている。

米国でもいくつかの州・都市で非常事態対応が始まっている。
アックマン氏はそれが全土で行われるまで問題が解決しないと予想している。
しかも全土で一斉に行われる必要があるという。

「カリフォルニアやニューヨークが先行したものの、それら州で企業活動が安全に再開されるまでには、最後に実施する州が実施した後約3-4週ほど待たなくてはならないだろう。」

アックマン氏は、連邦政府のリーダーシップの下、早期に全州でのロックダウンを実施するよう求めている。
同氏の見積もりが正しいなら、仮に今日それがなされたとしても、企業活動はさらに3-4週間もロックダウンの影響を受けることになる。

こうした厳しい環境認識とは裏腹に、アックマン氏は投資については楽観している。
だからヘッジを外したのだ。
最近は旺盛な買い意欲を示していた。
理由として、社会隔離、試験、治療法開発、政策対応などで進展が見られた点を挙げている。

私たちは先週、株式・クレジット市場に対してますます積極的になった。
ヘッジの解消を開始し、この危機に耐えて長期的に繁栄すると信じる、わが社が愛する企業にバーゲン価格で資本を投じ始めた。

アックマン氏の自慢話は続く。
今回のヘッジは26億ドルの収入を生んだ。
ヘッジのコストはわずか27百万ドルだったというから、収入≒利益 ということになる。
この利益でロング側の損失を埋めることになるが、急激な下げ相場の中でパーシング・スクエアの3月24日までの年初来リターンは0.2%と水面上にある。

アックマン氏の自慢話は続く。
同氏が増やしたポジション:
・Agilent
・Berkshire Hathaway
・Hilton
・Lowe’s
・Restaurant Brands
・Starbucks(1月に一度売っていた)
投資後にさらに現金を17%残しているという。

最近やけにアックマン氏のメディアへの露出が増えたと思えば、大成功していたのだ。
嬉しかったのだろうし、投資家へのアピールのしどころだし、ポジション・トークのチャンスでもあるのだろう。
こうなると外野の投資家も勝ち馬に乗りたくなるのが人情だ。
アックマン氏は今後の見通しを述べている。

市場(ならびにわが社のパフォーマンス)は引き続き高ボラティリティが見込まれる。
したがって、現在保有している投資より優れた新たなチャンスも現れるだろう。
最近買ったものも含めて既存の保有資産を売ることにつながるかもしれない。

ポートフォリオの改善のために今後も銘柄入れ替えを積極的に行っていくという宣言だ。
もう少し深読みするなら、先ほど報告あるいはポジション・トークした銘柄について《追随すればいいとは限らないよ》との《免責条項》の意味もあるのだろう。

さらに、同様または異なる形のヘッジを行ったり、コロナウィルスほかの市場要因の進展によりさらに現金を調達するかもしれない。
言い換えると、この環境ではポートフォリオの入れ替えが速くなるだろうということだ。

銘柄だけでなくマクロについても《買えば儲かるとは限らないよ》と《免責条項》を加えており、《ファンドを拡大する時はヨロシクね》とアピールもしている。

ベビー・バフェットと呼ばれることもあるアックマン氏。
こういう時にポートフォリオの中身を積極的に入れ替えられるのはさすがだ。
ただただ売りに走ったり、手持ちの資産を塩漬けにするだけの投資家は見習うべきなのだろう。


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