元Goldman Sachs Asset Management会長ジム・オニール氏が珍しく日本についてコメントした。
安部政権後の日本の株式・債券について見通しを述べている。
「日本は量的緩和に踏み出してからそろそろ20年近くになる。
非伝統的政策が極めて長く続いたことから、それを止めた時に何が起こるかは誰にもわからないだろう。」
来日したオニール氏がProject Syndicateで書いている。
日銀が量的緩和を始めたのは、速水総裁時代の2001年3月。
2006年に一旦終了したが、その後、幾度か名前を変えて復活している。
オニール氏は、安倍政権と日銀の協調を知った上で、安倍首相の下で量的緩和の解除はありえないと予想する。
一方で、量的緩和が永久に継続することが不可能であることも指摘する。
「日銀が大きな金融上のリスクを許容することなく2%物価目標を達成することができないのは明らかだ。
2%物価目標がそれに取り組む上で賢明なものかは全くわからない。
たとえそうであったとしても、そうした狭い目標を求めれば、他の政策の優先順位を犠牲にするリスクが存在する。」
元英財務事務次官は、2%物価目標には疑問符をつけているようだ。
ともあれ、オニール氏は政治的背景を知っている。
安倍首相在任中は、現在の政策が継続すると予想している。
「問題はその後に何が起こるかだ。」
オニール氏は、異次元緩和が大きく市場を「歪めるようなプレゼンス」を有したがために、その巻き戻しにおける債券・株式市場や世界経済への反動を心配しているのだ。
QE終了が劇的な政府債務ポジションの改善とともに起こらない限り、それは極めてありそうにないが、債券価格は最後には厳しい時代を迎えるだろう。
日本の財政再建は現政権でも次々と事実上後倒しされてきた。
今後数十年見ても「劇的な」改善まではいかないだろう。
ならば、金利は上がると言っているのだ。
日銀が多くの日本企業の10位以内の株主になっていることを考えれば、同じことが株式についても言える。
一方、日銀が株式(ETF)買入れを止めれば、株式市場は歪められなくなることに苦しむだろう。
あまりにも当たり前の見方だ。
常識的な投資家なら、こうした当たり前の予想をしているものだ。
ならば、日本株が上がるはずがない。