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ペントアップ・デマンドは期待薄:デービッド・ローゼンバーグ

エコノミストのデービッド・ローゼンバーグ氏が、強い米市場の理由の1つとなっている今年の経済回復期待について、行き過ぎた期待と警告している。


最近ではどこに行っても、みんな(または十分な人数)がワクチンを打てばペントアップ・デマンドに支えられた『V字』回復がやってくるとの話で持ち切りだ。・・・
でもそれには2つの課題がある。

ローゼンバーグ氏がFinancial Postで、すっかり少数派となった米経済に対する弱気予想を続けている。
同氏が挙げた「2つの課題」とは次の2点。

ペントアップ・デマンドが発生しうる支出項目は少ない

ローゼンバーグ氏は、ペントアップ・デマンドが起こりうる分野の支出が、消費支出全体の8.5%にすぎないと指摘する。
サービス分野の大きな支出項目である家賃・公共料金・医療費は漸増傾向であり、需要が後倒しされているとは限らない。

財はパンデミックで恩恵を受け飽和の懸念も

ローゼンバーグ氏は、パンデミックの影響で増加した財への支出を1,800億ドル、減少した循環的サービスを3,250億ドル、ネットで1,450億ドルの減少と見る。
1,450億ドルの減少は消費支出の1%弱であり、これが今年反転してもGDPに与える影響は大喜びするような話ではないという。

今後の米経済のカギを握る要因の1つは所得の動向だ。
ローゼンバーグ氏は、パンデミックの間は政府からの所得移転で家計が支えられてきたと指摘する。
個人所得に占める政府からの給付金は実に20%近くに上るのだという。
問題は、パンデミックが終わり、手厚い給付が終わる後どうなるかだ。
遜色のない賃金の職がすぐに見つかるだろうか。

しかし、ある時現実がものを言うようになる。
2021年がV字回復になるとの説は行き過ぎだ。・・・
少なくとも財政刺激が繰り返し続かない限りは。
これが1月5日のジョージア州(上院議員選)決選投票をさらに重要にしている。

今では珍しくなった弱気派(あるいはデフレ予想派)の意見を聞いておくことは決して無駄にならない。
ローゼンバーグ氏の意見には注意すべきポイントが2つある。
1つ目はジョージア州の決選投票がやはり重要であるということ。
ここで民主党が2議席を取れば上院は半々となり、議長(つまり副大統領)を含めて民主党が上院で過半を獲ることになる。
これは、ある程度「繰り返し続」く財政刺激を実現するかもしれない。
その場合「ある時」の到来が遅くなるのかもしれない。

もう1つは、ローゼンバーグ氏の今回の論文の対象が経済であって市場でないこと。
同氏は以前
「市場に影響を及ぼしたのは財政政策ではなく金融政策と流動性注入だ。」
と述べている。
仮に財政刺激が有限で、それがゆえに経済が十分に回復しない場合、金融緩和の期間が長くなる可能性もある。
皮肉にも、これが市場にプラスに働きかねない。


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