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ベスト・シナリオのタイム・フレーム:アスワス・ダモダラン
2020年4月10日

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、コロナ・ショック後のベスト・シナリオ、ワースト・シナリオについて語っている。


「まず私たちは、今年ほとんどの企業の利益が悲惨なものになるのを受け入れないといけない。
利益の大きな低下が見込まれるが、本当の問題は2020年にどれだけ利益が落ちるかではなく、その後の年にどれだけ低下分を回復するかだ。」

バリュエーション学部長の異名をとるダモダラン教授がCNBCで、株式の価格形成について語った。

株式市場とは過去に何が起こったかで値付けをするものではない。
将来、どれだけの利益、キャッシュフローが得られるかで値付けをしている。
だから、重要なのは、次々と過去になっていく現在(ここで利益・キャッシュフローが失われている)ではなく、将来が重要なのだ。

ダモダラン教授はリーマン危機を回顧している。

「2008年を思い出すと、利益が2009年に落ちただけではなかった。
利益の約20%が落ち、その低下分が永遠に失われた。」

問題は、コロナ・ショックの特殊性だ。
もちろん軽く見るべき危機ではないが、それでもかなり独特な危機であるのは確かだ。

「私たちはこれまで、経済全体をシャットダウンするというような実験を経験したことはない。
どれだけ迅速にエンジンをかけ、再始動できるかわからない。」

ダモダラン教授は、現状極めて大きな不確実性に見舞われていることを認めている。
だから、いくつかのシナリオを想定せざるをえない。
教授は、ベスト・シナリオとして、問題解決後に経済が速やかに回復するケースを想定する。
そうなれば、経済状況は「昨年までには戻らないだろうが、危機前、それに近いところまで、今後6か月から1年で戻る」だろうという。
結果、企業収益もリバウンドし「2-3年のうちに回復するだろう」という。

ダモダラン教授は、これまでもコロナ・ショックが株価バリュエーションに与える影響はそれほど大きくないと主張してきた。
株価が先を見て形成されること、大きなペントアップ・デマンドがあるだろうことを理由に挙げていた。
さらに、投資家タイプを診断し、適切な投資行動を示すアルゴリズムまで提示している。

もちろん、ダモダラン教授はワースト・シナリオも用意している。
利益が大きく減少し、二度と戻らないというシナリオだ。

ワースト・シナリオは、ダメージが経済だけでなく心理、消費者心理・企業心理に及び、癒えるまでしばらくかかるケースだ。

心理の悪化についてはロバート・シラー教授も心配していた。
仮に1929年の市場クラッシュ後のような心理の悪化があれば、米国株が買われず、しばらく低いバリュエーションが定着しかねないためだ。


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