JPモルガンのジョン・ノーマンド氏らが、従来ヘッジ手段と考えられてきた資産がヘッジに役立たなくなっていると指摘し、それにともなう投資家の行動を予想している。
ディフェンシブ資産は少なくともこの10年間、最も乏しいパフォーマンス、したがって株式の下落に対するヘッジ保護において最悪の効果しか上げてこなかった。・・・
株式・クレジット・新興国市場に流入するとの説を唱える人もいる現金の山だが、長い間極めて高水準であり続けるかもしれない。
25日付のJPモルガンのレポートをBloombergが伝えている。
伝統的にヘッジ手段と考えられてきた資産クラスがヘッジとしてうまく機能せず、投資家が現金を保有し続ける可能性があるという。
金融緩和が生み出したゼロ利回りの環境では、シクリカルな資産をヘッジするのが困難になるためという。
一見極めて弱気に感じられる投資家の行動だが、JPモルガンは、これがリスク資産の相場の方向性を変えるほどの力にはならないと見ている。
なんとも興味深い観察・予想ではないか。
今日日「現金」といえば、どうしてもレイ・ダリオ氏の「現金はゴミ」発言が思い出される。
同氏は通貨の価値が脅かされているとして、現金を忌避すべきと説いた。
しかし、多くの投資家は依然として現金を持っている。
下げた時のための待機資金であるかもしれないし、インフレにやられても(名目での)キャピタル・ロスを避けたいという考えかもしれない。
つまり、投資家の考えは決して一様ではない。
JPモルガンは、いまだ有効なヘッジの組み合わせも紹介している:
円 対 他の通貨、ドル 対 新興国市場通貨、金 対 ドルだ。
(金 対 ドルはダリオ氏と同意見になっている。)
同社によれば、大きな株式市場下落局面において、こうした組み合わせが60-80%のリターンを上げてきたと紹介している。
興味深い点が2つ。
- 円は弱気相場での最強の通貨:
今後もそうなるなら、弱気相場を迎える時には、円を持ち続けることがヘッジになるということ。 - 円建てでの金保有には疑問符か?:
弱気相場で円も金も強くなる場合、円建て金価格がどちらに振れるかは検証・検討が必要。
円の世界に生きている人は、もう一ひねりの判断が要る。
JPモルガンでは、景気回復・政策にかかわる不確実性がまだ2か月は残ると見ているが、一方で、株式市場の調整はおおかた終了したと見ているという。