投資

米ドル プライベートエクイティ投資のシミュレート法:ハーバード大講師
2021年11月26日

ハーバード大学のランドルフ・コーエン上級講師が、一般投資家にとって投資の機会があまりないプライベート・エクイティ(PE)のパフォーマンスを再現する方法を説いている。


有効な高流動性PEは、(PEの)リターンの個々のドライバー要素を理解・分解することで実現できる。
PEのアルファ(α)の6つの主要な源泉のうち4つは、公開市場による技術と戦略的ポートフォリオ運用の利用により再現することができる。

コーエン氏が短いノートで、一般投資家には投資する機会が少ないPEについて、公開株等で再現する方法「高流動性PE戦略」を提案している。
これにより、PEに敷居の高さを感じさせている要因の多くが回避できるという。

  • 流動性が低い。
  • フィーが高い。
  • 最低投資金額が高い。
  • キャピタル・コールが長期間続く。
  • 引出可能となるまで数年かかる。
  • 透明性が低い。

近年投資の世界では「プライベート」と付く投資先が人気だ。
長く続く金融緩和で公開企業は軒並み上昇した。
そこで、まだ比較的に割高でないように見える未公開(プライベート)市場が好まれている。
未公開市場は公開市場ほど短期的な値動きがないことも安心感を生んでいるのかもしれない。

どうやら、この議論の前提には、PEファンドのリターンが良好であるとの見方があるようだ。
きちんとαを稼げているPEファンドと似たポートフォリオを複製できれば魅力的というのだろう。

コーエン氏はPEのリターンの源泉を6つに分析し、再現法を提案している。

  1. セクターの選択と配分
    PEファンドの買収記事からポートフォリオの内容を推測し再現する。
  2. 投資先の選択
    PEファンドの選好(高収益・高配当・魅力的株価)を学び、銘柄選択する。
  3. レバレッジ
    これは簡単。
  4. ダウンサイド・プロテクション
    プロテクティブ・プットの買いとアウトオブマネーのコールの売り。

以上4つが再現可能なリターン・ドライバーだという。
一方、以下の2つが再現不可能という。

  1. 情報面の優位
    PEファンドは買収交渉の間に内部情報にアクセスできる。
  2. 投資先事業の改善
    PEファンドは経営権を取り、事業改善を働きかけることができる。

コーエン氏は、この2つのドライバーがαを生むのと同時に「大きなコスト」を発生させると指摘する。
確かに、この2つは6つの中でも特に手がかかる仕事だ。
結果、同氏は、この2つのコストと生み出すαがほぼ同程度だと主張している。
もしもそうなら、この2つなしでもネットではPEファンドと同等のαが得られることになる。
ただし、コーエン氏は、この方法でトップ・ファンドをアウトパフォームするのは期待しにくく、PEファンドの平均レベルを実現すると考えるのが現実的だろうという。
そもそもPEに投資したいがアクセスのない投資家からすれば、平均でもメリットはあるのだろう。

再現戦略の活用は、完全な直接経験へのアクセスがなく平均的なPE運用者のリターン以上を求める投資家により適している。

4つのドライバーを再現する戦略をわざわざ「高流動性PE戦略」と呼ぶかどうかは別として、ピカピカで絶大の信頼がおけるファンドがあるなら、真剣に再現を目指すのもアリかもしれない。


-投資
-

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。